インスタ売れから次のステップへ。ファンを維持しつつ新規層にもリーチするEC戦略とは – 「WTW(ダブルティ―)」
WTW(ダブルティー)は、西海岸スタイルを基調とし「URBAN,SURF,NATURAL」をコンセプトにした都会と自然、両極を楽しむライフスタイルを持つ人々に向けた日本発のライフスタイルショップです。「Waiting for the Wave(波待ち)」の頭文字を取ったブランドは、サーフカルチャーのリラックスした雰囲気を伝え、人気を博してきました。
Instagramを中心に口コミでファンを獲得してきた同ブランドですが、さらなるユーザーベースの拡大のためにはサイト内の顧客体験も重要だといいます。その第一歩ともいえるレコメンドエンジンの改善で、どのような成果が得られたのでしょうか? 株式会社WTWでECマネージャーを務める舟橋 志乃様に、お話を伺いました。
【INDEX】
・ファンを重視した、Instagramとメールによるマーケ戦略
・メール会員を増やすためには、サイト内体験が重要
・商品とUXの改善で、誰かに伝えたくなるブランドへ
ファンを重視した、Instagramとメールによるマーケ戦略
▼WTWの店舗を訪れると、海、夏といったイメージを感じることができます。これまでのブランドづくりについて教えてください。
WTWは2011年にスタートしたライフスタイルショップです。西海岸のゆったりとした雰囲気を携えたインテリアや雑貨、アパレルなどを、7つの店舗とオンラインショップで提案してきました。「海でゆったりとサーフィンの波待ちをしている時の様に、開放的なリラックス感で毎日を過ごしたい。アーバンカルチャーを自分流に自由にミックスして楽しみたい」というブランドコンセプトを掲げ、暮らしにかかわるさまざまなアイテムを展開しています。
ブランドの立ち上げ当初は、西海岸のカルチャーがトレンドだったことやクチコミやInstagram、テレビ番組などでの拡散も手伝って、デニムソファのような家具やインテリアアイテムが販売の中心になっていました。その後、お客様の層は次第に広がっていき、売れる商品の幅も広がっています。
特にコロナ禍を経たいまは、在宅需要からお出掛け需要への転換が進み、インテリア以上にアパレル用品が多く出るようになっています。また、オフィスの家具コーディネートや不動産会社とのコラボ住宅などB2Bビジネスにも進出しています。WTWのブランドコンセプトやイメージを堅持しながら、お客様のニーズに合わせてさまざまな商品を開発・セレクトしてきました。
▼ECのマーケティング施策も、ブランドのファンを重視して展開されているのでしょうか?
はい、Instagramやメールマガジンでのコミュニケーションが、現在のマーケティングの中心です。
一般的な広告施策にコストをかけない分、Instagramでの情報配信には力を入れてきました。過去にはブランドのトートバッグがバズったりして、ファン層の拡大に成功しています。現在、Instagramのフォロワーは11万人を超えています。
ただ、ユーザーコミュニケーションで最も重要なのは、実はメールマガジンです。メルマガ会員の年齢層は30代~40代が多く、購買力のあるロイヤルカスタマーです。メルマガの開封率は非常に高く、会員の皆様の声をくみ上げることが、EC施策や商品開発にも役立っています。また、新商品やキャンペーン情報はメルマガで会員の皆様に優先的に届けるようにして、特別感を感じてもらえるようにしています。
▲ブランドイメージを伝える旗艦店 WTW AOYAMA
メール会員を増やすためには、サイト内体験が重要
▼「実はメルマガが強い」というのは、成功されているEC事業者の方々からよく聞く声です。メルマガ会員の数を増やすには、何が必要なのでしょうか?
実はそこが課題です。現在のメルマガ会員は昔からのファンが主体です。しかし、コロナ禍を経て新たなユーザーの方々も増えてきました。そういった方々は、検索やSNSから直接商品ページにリーチして購入するので、あまり買い回りをしません。もっと回遊性を上げてブランドのことを知ってもらい、一客あたりの購買点数の向上を図ると同時に、会員登録を促して新たなファンになってもらわなければなりません。
サイト内回遊の活性化のために、シルバーエッグのAI搭載レコメンドエンジン「アイジェント・レコメンダー」を導入しました。
▼新規顧客をファン化させるためには、まずサイト内体験ということですね。今回導入したAI搭載レコメンドで、何が変わりましたか?
これまではカートシステムが標準で提供するレコメンドエンジンを使っていましたが、商品ごとに、関連するレコメンド商品を一つひとつマニュアルで入れなければなりませんでした。ビジネスが成長しSKUが増えてくると、少人数で行っているサイト運営の大きな負荷となってきました。また、マニュアルで組んだレコメンドが果たしてユーザーの興味に即しているかどうか、不安になることもありました。
「アイジェント・レコメンダー」の導入で、レコメンドの登録や修正は自動化され、工数を大きく減らすことができました。また、AIの導入でレコメンドの設定に人間がかかわらなくなったのに、結果としてレコメンドの質が格段に良くなりました。一客あたりの購入点数が増加することにより客単価が向上し、全体の売上の底上げにつながりました。
ユーザーの求める商品をレコメンドし、買い回りを増やす結果につながったのは、導入時にシルバーエッグのコンサルタントがABテストをして、ページごとに最適なアルゴリズムを導入してくれたためだと思います。また、最近もコンサルタントとの打ち合わせで、追加の改善提案をいただきました。継続的な質の向上が図れるのはよいと思います。
商品とUXの改善で、誰かに伝えたくなるブランドへ
▼今後、WTWのオンラインショップはどのように成長していくのでしょう?
オンラインショップのオープン当時は、ブランド性やビジュアルにこだわりがあり、結果的にUI/UXや、CRMによる顧客理解は二の次になってしまいました。これからは原点に立ち返って、ユーザーの利便性を改善していきたいです。
レコメンドエンジンの改善は、その第一歩です。ブランドイメージを大事にしつつ、使いやすいサイトにしていくことで、既存のブランドファンの皆様に対しても、新規顧客の方々に対しても、ご満足いただけるサービスになるかと思います。
お客様の動向を見ていると、WTWの商品をギフト目的で買われる方が増えてきているようです。これはつまり、誰かにこのブランドを知ってほしい、人に伝えたいと思っている方が多いということだと思います。そういったユーザーの皆様の想いに応え、ファンを増やしていくために、できることはまだまだあります。オリジナル商品、セレクト商品両方を充実させ、またECのユーザー体験を向上させることで、WTWを魅力的なブランドとして育てていきたいです。
▲ご本人も海が好きと語る、WTW株式会社 舟橋 志乃 様
(編集:園田真悟)
▼AI搭載レコメンドエンジンの機能について詳しく知るにはこちら!▼