ユーザーが「今」欲しい商品を提案する。ロッピングライフが選ぶレコメンドエンジンとは? -株式会社ロッピングライフ『Ropping』
ユーザーの属性や行動履歴などから導き出した“おすすめ商品”を表示するレコメンドエンジンは、ECサイトの売上向上に有効とされている。中でも豊富な導入実績を誇るのが、シルバーエッグ・テクノロジー株式会社(以下、シルバーエッグ社)が提供している「アイジェント・レコメンダー」。
今回は同サービスを自社ECサイトに導入している株式会社ロッピングライフ(以下、ロッピングライフ社)のWEB担当者に、導入した経緯や効果のほどを伺った。ロッピングライフ社では、レコメンドエンジンを活用することでユーザーの満足度や信頼度を高めながら、人的リソースをうまく削減しつつシステムを回すことが可能になっているという。そこから見えてきたのは、適切なビジネスパートナーとの協力がいかに大切かということだ。
※記事・画像ともにECのミカタ提供
▼番組名で検索できる、テレビ朝日主導のECサイト
詳しい話をする前に、まずはロッピングライフ社について簡単に説明する。同社はテレビ朝日の100%子会社で、通販事業全般を担う企業である。そのビジネスのメインはテレビショッピング。
例えばテレビ朝日の人気番組「じゅん散歩」や深夜の通販番組での商品紹介、全国にあるテレビ朝日の各系列局の通販事業のサポートを行っている。また、テレアサグッズ(人気ドラマなどのオリジナルグッズ)をテレビ朝日と共同開発し、東京駅や六本木のテレビ朝日内のショップで販売したり、オンライン販売をしている企業だ。
ロッピングライフ社のECサイトでは、テレビ番組名でカテゴリ検索ができるのが大きな特徴だ。番組で紹介した商品を探しやすいように、番組のロゴや出演者の顔を出す、カレンダー機能を搭載するなどの工夫をして、ユーザーが迷わずに商品を探せるようにしている。
Ropping トップページ
▼すでに10年も継続利用中。ユーザーを逃さない“リアルタイム・レコメンド”
アイジェント・レコメンダーは、複数の機械学習技術を組み合わせることで、顧客の行動をリアルタイムで反映した精度の高いレコメンデーションを提供するサービス。ロッピングライフ社ではこのサービスを導入することで、サイトに来た人の行動情報(サイト内の閲覧履歴など)をもとに、最新のユーザートレンドを反映したレコメンドや、レコメンドの並び順・商品の優先順位を毎回変えることなどが可能となった。
ロッピングライフ社では、シルバーエッグ社のサービスを約10年前から導入している。導入前は数社によるコンペを行い、機能面やシステム面の充実度から同社に決めたという。
決め手は、リアルタイムでレコメンド商品を表示できるということ。コンペ当時はシルバーエッグ社のみが有する機能で、いまもその優位性は変わらないという。また、技術的に優れているだけでなく、費用がリーズナブルだったこともポイントだったよう。
その後、2019年10月にサイトをリニューアルする際にも他社と比較したというが、前述の機能優位性や他社ツールとの機能連携などを考えた結果、シルバーエッグ社との再契約を結んだ。長期にわたりサービスを利用し続けているのは、テレビ番組の放送内容とリアルタイムに連携できるからだという。
例えばテレビショッピングの時間が朝10時から始まるとすると、ECサイトへのアクセスはその時間に集中する。それに合わせて、その日の放送で紹介された商品を紹介できるシステムにしなければ、販売機会を逃してしまう。ユーザーが欲しい商品をタイミングよく提示することができるというのは、テレビショッピングのECサイトでは非常に重要なことといえる。それを可能にしているのがアイジェント・レコメンダーというわけだ。
アイジェント・レコメンダーのAIは、放送によって流入し始めたユーザーの行動を観察し、何が売れ始めたかを理解すると、続くユーザーにも同じ商品をレコメンド枠に表示し始める。
この機能によって、担当者が事前の設定をしたり、テレビ放送のスケジューラーと直接連携をしたりしなくても、トレンドにあった商品のレコメンドを実現している。今朝の番組で放送していた ものに関連する商品がすぐレコメンドに表示されるという仕組みは、実はAIの周辺部分でのシステム的なサポートがあるからできることなのだ。この仕組みは、ロッピングライフ社だけでなく、様々な業態で役立てることができるだろう。
SNSのトレンドや、口コミ、天候といった直接収集することが難しい外的要因であっても、それによって生み出されるユーザーのサイト内での行動の変化を即座に読み取り、その時に買われやすい商品を、より目につくところに表示できるようになるわけだ。レスポンスがすぐほしいサイトにおすすめのシステムといえるだろう。
▼クライアントに合わせた充実のサポート体制
システム導入後には、シルバーエッグ社のコンサルタントともにカテゴリや金額縛りによるABテストを積み重ねることで効果の検証や精度の向上を図ったという。ページの内容によってレコメンドする商品の傾向が変わるよう、画面ごとに参照する相関を変えるなどの工夫もしている。
特に導入から最初の1年は条件設定などに時間をかけたため大変だったようだが、設定が固まれば、あとはAIに任せてレポートを見て検証を行えばよい。そのため、運用にかかる手間や人手を削減できているという。
実際にロッピングライフ社は、ごく限られた人数で、30億もの売り上げを誇るECサイトを運営している。ロッピングライフ社では約3,000点の商品を扱っているというが、それを手作業でカテゴリ分けして配信設定を行うには膨大な時間がかかってしまう。その部分をシルバーエッグ社のAIとコンサルタントがサポートしているのだ。
シルバーエッグ社では保有しているデータや知識を活かし、クライアントに合わせてメンテナンスやコンサルティングなどの周辺サポートをしてくれる。扱う商品やサービスが1,000を超えるような中~大規模の企業にとっておすすめのサービスといえるだろう。
▼リニューアル後もさらに先を見据え、よりよいサイトに
2019年10月のECサイトリニューアルの際に、まずロッピングライフ社が力を入れたのはサーバーの増強。3年ほど時間をかけて進めてきた甲斐もあり、いまでは読み込みスピードもかなり速く、ストレスのない閲覧が可能になったようだ。
また、WEBと電話注文の在庫を連携して一元管理を行うことで、売り逃しを防ぐ工夫をしたという。近年はスマホでの注文数が増えてきたこともあり、携帯電話のキャリア決済を導入するなど、決済サービスも拡充した。テレビショッピング関連のECサイトで、ユーザー体験向上のためにここまで積極的なアクションを起こしているのはロッピングライフ社だけといえるだろう。実際にサイトリニューアル後は、売り上げも伸びているとのこと。
今回のリニューアルではかなわなかったが、今後はチャットボットを取り入れたり、写真や文章の説明では伝わりづらい部分を動画にして訴求するなど、さらにユーザビリティを高めていきたいそうだ。
また、次にアイジェント・レコメンダーを使って実施したいことは、メール自動配信のパーソナライズ化だという。ユーザーの閲覧記録に沿って、よりその人に合った商品の提案ができるメルマガを配信したいそうだ。シルバーエッグ社としてもサービスを常にアップデートすることで、さまざまなシーンでのレコメンド表示をサポートできるようにしたいということだ。
■「アイジェント・レコメンダー」とは
複数のレコメンデーション・アルゴリズムを搭載した、リアルタイムAI(人工知能)マーケティング・プラットフォームです。顧客企業は、利用場面に応じて最適な技術を容易に選択・導入することができ、ABテストによる効果検証も可能です。アルゴリズムは、シルバーエッグ社独自開発のAIをベースにしており、サイトのアクセスや購買状況、各ユーザーの動線を「リアルタイム」に把握・分析し、一人一人の嗜好に合ったおすすめの商品を、瞬時に表示することができます。
また、多機能な管理画面やレポーティングサービスにより費用対効果の検証を行い、売上増大に向けた対策などを、専任コンサルタントが継続的にサポートします。
(取材 / 編集:園田 真悟)