一人ひとりパーソナライズされた情報を届けプレミアムなブランド体験を – MAMMUT SPORTS GROUP JAPAN 株式会社「MAMMUT」
155年以上の歴史を持ち、今や世界40の国と地域をまたにかけ、高品質なプロダクトと優れたブランド体験を提供し続けるアウトドアブランドの「MAMMUT」。Eコマース強化をグローバル戦略に掲げる中で、シルバーエッグのリアルタイム・レコメンドが選ばれた理由とはなにか。国内Eコマース事業を一手に引き受ける MAMMUT SPORTS GROUP JAPAN 株式会社 EC部マネージャー小岸和美氏にお話をうかがいました。
▼ 貴社の事業内容や、直近の活動についてお聞かせください。
1862年にスイスで設立したアウトドアブランドです。アパレル、フットウェア、バックパック、クライミングハードウェア等、山やアウトドアにまつわる商品を幅広く展開しています。
現在、グローバルでデジタル戦略に注力しており、日本のウェブサイトにもさまざまな改修を加えています。直近では、10月にサイトリニューアルを実施し、SEOのAI化、カゴ落ちメルマガ、ステップメール施策などの機能追加をしました。
基本的には、サイトデザイン含めグローバル統一基準に沿ってデジタル戦略を展開していますが、返品率やユーザーの購入前後の行動に日本特有の特徴が見られるため、日本のローカル性に合わせた戦略も一部行っています。
▼ 日本独自の戦略を展開する上で、本国との調整等、グローバル企業ならではの苦労も多いのではないでしょうか?
独自戦略をする際には本国の了承を得る必要はたしかにありますが、提案した機能追加・改修案が国内での実施にとどまらず、グローバル戦略として採用される例も多数あります。AI型のレコメンドの導入もその一つですね。
グローバルECでは、3年前までは人の手でレコメンドを運用していたのですが、日本でシルバーエッグのリアルタイム・レコメンドエンジンを採用したことを機に、グローバルECでもAI型レコメンドエンジンの導入を決めました。良いものを取り入れる姿勢はグローバル、国内問わず積極的なので、その点では、苦労を感じたことはないです。
▼ 日本のサイトでのレコメンドエンジン導入のきっかけは何だったでしょうか?
ECサイト立ち上げ半年後に、CVRや1セッションあたり購入商品数、滞在時間に課題を感じるようになりました。また、サイトを見て店舗に来てくれたお客様から、「ほしい商品がサイトで見つけられなかった」などの声が寄せられていたこともありました。
お客様が求める商品をおすすめすることで回遊率が向上し、CVRと購入商品数の増加に繋げられると考え、レコメンドの強化を検討し始めました。
▼ シルバーエッグのレコメンド導入の決め手は何だったのでしょうか?
複数社比較した中で、一番お客様が求める商品をおすすめできると感じたからです。サイトの取扱商品数は500~600商品ですが、見た目はほとんど同じでも、ハードシェルやソフトシェルといった機能に差がある商品もあります。また、ブランドサイトとしての側面も持ち合わせており、サイトで見つけて店舗で試着してみて購入されるケースも多く、店舗への来店前に多くの商品を見て比較検討してもらうことも重要だと考えています。
そのため、それぞれのお客様のほしい商品にあわせておすすめをパーソナライズしてあげることが購買体験の向上につながると考え、それを実現するためにはシルバーエッグのレコメンドが一番だという判断に至りました。
▼ 導入後の効果やサービスの印象はいかがでしたか?
導入当初はグローバルのデザイン基準の兼ね合いからトップページにしか表示してなかったのですが、10月のサイトリニューアルを機に、あらゆるページに表示するようにしました。
結果として、リニューアルでの他の施策との相乗効果、更には社会情勢の変化もあり、課題であったCVRが大幅に改善されました。また、レコメンドにより合わせ買いの促進効果により同時に購入される点数が増加したこともあり、ECでの売上はリニューアル当初はもちろん、今年に入ってからも昨年対比平均2倍と大きく売上を伸ばしています。
▼ トップページのファーストビューにレコメンドを表示するのはなかなか勇気がいることだと思いますが、どういう狙いがあるのでしょうか?
サイトに訪れた際に、真っ先にお客様ごとにパーソナライズされたおすすめ商品をお届けすることが、購買体験の向上につながると思ったからです。また、トップページは半年に1回のビジュアル変更以外では更新される箇所がニュースくらいだったので、アクセスごとにその時点での最新おすすめ商品を表示させ、目新しさを感じてもらう狙いもあります。
▼ ブランドサイトの側面もあるとのことですが、お客様と長期的な関係を気づくためにどういったポイントを重視していますか?
当社は大手のモール型サイトにも出展しています。各モールのポイント施策に参加しながらの出展になるため、モールで購入したほうが安く購入できることもあるのですが、それでも公式オンラインショップで購入してくれる大切なお客様が多数いらっしゃいます。
そういったお客様に対して、自社サイトでしか買えない商品、もらえない特典などを提供するなど、ブランドのプレミアム感を体験していただけるような企画やコンテンツを考えて、お客様と長期的な関係を築けるよう注力しています。
▼ 最後に今後のデジタル戦略の構想をお聞かせいただけますか?
グローバルの戦略方針次第ではありますが、顧客理解を深め、一人ひとりにあった情報提供をしていきたいです。例えば、メルマガであれば、今は性別などでセグメントを分けての配信になっていますが、メルマガにレコメンドを入れて、パーソナライズされたコンテンツの配信をしてみるなど、より豊かなユーザー体験につながるような施策を実施していければと考えています。
■「アイジェント・レコメンダー」とは
複数のレコメンデーション・アルゴリズムを搭載した、リアルタイムAI(人工知能)マーケティング・プラットフォームです。顧客企業は、利用場面に応じて最適な技術を容易に選択・導入することができ、ABテストによる効果検証も可能です。アルゴリズムは、シルバーエッグ社独自開発のAIをベースにしており、サイトのアクセスや購買状況、各ユーザーの動線を「リアルタイム」に把握・分析し、一人一人の嗜好に合ったおすすめの商品を、瞬時に表示することができます。
また、多機能な管理画面やレポーティングサービスにより費用対効果の検証を行い、売上増大に向けた対策などを、専任コンサルタントが継続的にサポートします。
(取材 / 編集:園田 真悟)