独自コンテンツの拡充とサイト内機能の充実で、より愛されるブランドへ – デイトナ・インターナショナル「デイトナパーク」
株式会社デイトナ・インターナショナルは、セレクトショップ「フリークス ストア(FREAK’S STORE)」を中心に、アパレル・ライフスタイル事業全般を展開しています。店舗数は全国約60店舗、オンラインでもさまざまな施策を続けています。2023年11月には、同社が展開する複数の個性豊かなブランドサイトを統合し、「デイトナパーク(Daytona Park)」としてリニューアルしました。その狙いはどこにあったのでしょうか? また、新たなサイトでユーザーに商品を知ってもらい、手に取ってもらうために、どのような施策を行っているのでしょうか? この2点を中心に、DX本部 プロダクトデザイン部 部長大和田 匡記様にお話しを伺いました。
【INDEX】
・クロスユースによる活性化を狙ったブランド統合サイト
・コンテンツを通じ、スタッフとお客様の距離を縮めていく
・AIレコメンドの活用で、お客様に商品を知ってもらい、買ってもらう
・メールやアプリも改善し、新しいビジネスを作っていく
クロスユースによる活性化を狙ったブランド統合サイト
▼2023年にオープンしたデイトナパークは、非常に速いペースで企画が進んだと聞いています。これまでのブランドサイトやECサイトを統合し、ひとつのサイトとした意図はどこにあったのでしょうか?
当社は2021年より、DXを積極的に推進してまいりました。私の所属するDX本部はオフライン(店舗)とオンライン(EC)両面でのデジタル施策を進めていますが、オンライン側の推進基盤として自社ブランドを集約したモール型のサイトを企画し、約2年で立ち上げることができました。サイトの目的はいくつかありますが、中でも重視しているのはクロスユースの推進です。
当社の強みはオフラインでの企画力、販売力です。他社よりもお客様との距離が近く、地域ならではのコラボレーションやブランドとのコラボレーションに、ファンの皆様がついていました。こういったお客様とのコミュニケーションをオンラインでも強化し、ECでの購入体験をしてもらうことで、ロイヤルティを更に上げていこうというのが、クロスユース推進の主眼です。また、当社の複数のブランドを認知してもらい、組み合わせのスタイリングなどを楽しめるようにすることも、重要な目的になっています。
▼フリークス ストアは、非常に高い知名度を持っているブランドです。これを「デイトナパーク」という、それ自体は商品を持たないブランドの下に統合してしまうことに、不安はなかったのでしょうか?
確かに、ブランド認知度の点でリスクはあると考えていました。一方で、ブランドごとに分けたサイト運営では、フリークス ストアだけが強いままで、新しいブランドの認知度がなかなか上がらないという問題も認識していました。
長期的に見れば、複数のブランドを育て、維持していくことが、健全な経営に繋がります。デイトナパークの下にフリークス ストア他、各ブランドのサイトを置き、EC機能を統合的に提供することで、それぞれの個性を維持しつつ、ブランド横断的な認知度の向上を実現できると判断しました。
また今後、弊社が目指す方針にOMOプラットフォーマーを掲げています。各社ブランド様に出店していただくために、デイトナパークというモール型の仕組み作りが必須でした。リニューアルと同時に、株式会社アントレックス様のVitamixショップ出店を行い、そこを皮切りに2024年10月以降にも続々と新ショップの出店を予定しています。
▲サイト統合の価値を語る、株式会社デイトナ・インターナショナル 大和田 匡記様
コンテンツを通じ、スタッフとお客様の距離を縮めていく
▼デイトナパークは、多数の特集記事やコーディネートフォトなど、商品以外のコンテンツの充実が目に付きます。
コンテンツはブランドの個性を見せ、お客様に商品の良さを知ってもらうために重視しています。特集記事などのコンテンツの制作は基本的にすべて内製で、店舗やEC担当、商品部などの意見や要望をもとに、現場感を大事にして作っています。
また、デイトナパークは単なるECサイトではなく、買う、読む、見る、聞く、楽しむなど五感でユーザー体験を高めていただく工夫をしています。具体的には特集記事(読む)だけでなく、デイトナYouTu部(見る)、MusicPark(聞く)、楽しむ(GamePark)など独自コンテンツの拡充も行っています。
その中でも人気があるのが、店舗スタッフによるスタイリングフォトです。各ブランドを活かしたさまざまなスタイリングの提案を行っており、お客様の購入の選択肢が増えるという効果を生み出しています。
▼スタッフによる投稿コンテンツの活性化のために、どのような施策をとっているのでしょうか?
投稿した写真を評価する仕組みを取り入れました。これらの取り組みによって、オンライン・オフラインの垣根を超えた店舗スタッフの活性化が実現し、投稿数の質・量ともに伸びています。
将来、MDや企画の仕事を志望している若手のスタッフのなかには、よりよいスタイリングフォトを作ることで、自分の感性を磨き、キャリアを伸ばしていこうと考えている人もいます。単にお客様との接点を増やすだけでなく、従業員の士気向上のためにも、コンテンツマーケティングは重要です。
AIレコメンドの活用で、お客様に商品を知ってもらい、買ってもらう
▼デイトナパークが多様なコンテンツのプラットフォームとして機能していることがわかりました。お客様に買っていただくためのサイト内体験の向上には、どのような施策をとられていますか?
今回のサイトリニューアルでは、お客様の商品購入やコンテンツ閲覧をスムーズにするために、複数のツールを短期間で投入しました。特にレコメンドエンジンについては、立ち上げ前から重要性を認識しており、多様な商品やコンテンツの中からベストのものを選んでもらうために、AI搭載レコメンドエンジンによる強化を図りました。
以前のサイトでは、社内エンジニアが開発したレコメンドエンジンを利用していました。その精度は信頼できるものでしたが、運用が課題となっていました。当時はスタッフ数が少なく、チューニングや効果測定が上手くいっていなかったのです。そこで、精度と運用の簡単さに定評があるアイジェント・レコメンダーの導入を決めました。同ツールは、サイトに加えメールでのレコメンドができる点、また、商品だけでなくコンテンツのレコメンドも行える点も評価されました。
アイジェント・レコメンダー導入時には、シルバーエッグのコンサルタントと、構築を担当するSIerとの情報共有が重要になります。実装が終わってAIの学習が進むと、さまざまな箇所で精度の高いレコメンド表示が実現できていると実感できました。
▼レコメンドエンジンのリニューアルによって、お客様の顧客体験はどう変わったのでしょうか?
KPIの改善が、顧客体験の変化を物語っています。たとえば、パーソナライズされた商品のレコメンドと、特集記事の固定的な商品リンクを比べた場合、CTRで3倍の差が出ました。また、CVRは1.3倍程度高くなっています。パーソナライズされた商品を表示することで、お客様の関心を引き、スムーズに購入へと導く効果が出ていると感じています。
メールやアプリも改善し、新しいビジネスを作っていく
▼最後に、デイトナパークの今後の成長のため、どのような取り組みをされていきますか?
この2年で、ブランド統合サイトを軌道に乗せることができました。今後は、サイトでの成功体験を活かし、メールやアプリ開発にも注力していくことになります。
コンテンツマーケティングは企画力が鍵となりますので、制作レギュレーションの整備などを進め、質の良いコンテンツを作れる基盤をつくり、さまざまなタッチポイントで見ていただけるようにしていきたいです。また、レコメンドエンジンによるメールコンテンツのパーソナライズや、アプリでのレコメンドも実施して、お客様の利用率の向上とファン化を進めていこうと考えています。
レコメンドに限らず、AIの進化によってさまざまなことができる時代になってきました。今後は、たとえば、AIでスタイリングを支援したり、これまでスタッフが工数をかけなければならなかった業務をAIで自動化したりすることで、スタッフとお客様とのコミュニケーションをより密なものにしていければ良いなと思っています。
(編集:園田真悟)
▼AI搭載レコメンドエンジンの機能について詳しく知るにはこちら!▼