ブランド横断型ECサイトで、売上貢献だけでなくカルチャーづくりにも役立つレコメンド – 株式会社ベイクルーズ『BAYCREW’S STORE』
IENA、JOURNAL STANDARD など、誰もが知るアパレルブランドを多数展開し、近年はインテリアやフィットネス事業も展開する株式会社ベイクルーズ(以下、ベイクルーズ)。デジタル領域では『BAYCREW’S STORE』という統合型のオンラインショップを立ち上げ、傘下の各ブランドを網羅的に閲覧・購入できるようにしています。
この巨大なブランドショップサイトで、シルバーエッグのリアルタイム・レコメンドはどう役立っているのでしょうか? ベイクルーズのEC部門でデジタルマーケティングを担当する玉川氏と、システムソリューションを担当する丸山氏に伺いました。
▼BAYCREW’S STOREは、数多くのブランドを縦横に見て、楽しめるサイトだと思います。どのようなビジョンやポリシーをお持ちなのでしょうか?
ベイクルーズという企業の理想を体現しようというのが、このサイトの大きな目的です。店舗とECの相互の垣根を減らし、両方使ってもらうことで、トータルでベイクルーズならではの価値を提供していきたいと考えています。そのために、複数のディレクターが関わってサイトを運営しています。
サイトの構築・運用はすべて内製化しようと取り組んでいます。ECに必要な複数の機能・ツールを自分たちで吟味し、一部はセミカスタマイズして利用しています。年度や期ごとのシステム予算に縛られずに、良いアイディア、良いツールがあれば、すぐに検討して導入できるようにすることが、理想への近道だと考えています。
▼そんな中で、シルバーエッグのアイジェント・レコメンダーを採用したきっかけは、なんだったのでしょう?
もともと海外製のツールを使っていたのですが、海外製ゆえのサポート体制の不備やトラブルも多く、継続的な運用には難しさを感じていました。
レコメンドの細かなチューニングができる点を評価していたのですが、設定項目やロジックが複雑すぎて、適切な設定ができないことがありました。また、ページごとに細かく設定をしてみても、結局、出てくるレコメンドアイテムは変わらない、なんてこともあり、もう少し素直に使えるものを探そうということで、リプレイスの検討を始めました。
▼レコメンドエンジンのリプレイスで、どのような点を評価されましたか?
精度と、商品レコメンドとコンテンツレコメンドの双方で使える汎用性です。他のマーケティングツールのオプションでついてくるレコメンド機能も一旦は検討したのですが、“餅は餅屋”ということで、シルバーエッグのアイジェント・レコメンダーを選択しました。
アイジェント・レコメンダーは、レコメンド経由のコンバージョン測定が厳密であるという点も評価しました。他のツールでは、レコメンドをクリックしてから1週間以内にコンバージョンしたら成果と見做すものもありましたが、アイジェント・レコメンダーは1時間以内に購入されたもののみを成果として課金しており、信頼できました。
▼大規模システムへのレコメンドエンジン導入は、苦労される点もあるかと思いますが、いかがでしょう?
アイジェント・レコメンダーの導入に関しては、キックオフからローンチまで、約6か月かけていますから、比較的長い方ではないでしょうか。要因は明確で、当社のECのシステムがセミスクラッチでユニークなデータの持ち方をしていたことと、セールイベントに応じた価格変動にレコメンドを対応させたかったからです。
この機能設定については、シルバーエッグのコンサルタントに細かく相談に乗っていただき、両社で何度もテストを繰り返しました。結果として、非常にレスポンスよくレコメンドが表示できるようになり、満足しています。
▼商品レコメンド以外に、コンテンツレコメンドもやっていらっしゃるとのことですが、どのような成果を出していらっしゃるでしょうか?
BAYCREW’S STOREのキラーコンテンツである、商品コーディネートのスナップフォトページに使っています。お客様に購買の参考にしてもらえるように、実際に店舗スタッフがさまざまなコーディネートで試着したスナップを、商品ページで紹介しています。
スナップのアクセス数は、ある種驚異的です。1回のセッションで、20~50スナップも見られています。皆さん、自分が購入するときに参考にするのはもちろんですが、単純に他の人がどんなファッションをしているのか、見て楽しみたいという動機もあるようです。
レコメンドの利用で、カテゴリや属性とは異なる切り口で「見たいと思えるスナップ」が並ぶようになり、回遊性は一層高まりました。ある意味BAYCREW’S STOREのカルチャーの醸成に、役立っているのではないかと思います。
▼シルバーエッグのレコメンドを導入して、何をいちばんご評価いただいていますか?
これまでのツールでは、一生懸命工数をかけて設定をほどこし、成果をだしていました。それが、アイジェント・レコメンダーでは何もしなくてもきちんと成果が上がってきます。やはりAIの質が良いということでしょうか?
運用工数が減ったことで、外注費用も抑えられました。また、以前のレコメンドシステムに比べサービス利用料も下がり、良かったと思います。現在はサイトに加えメールでのレコメンド(レコガゾウ)も導入していますが、今後はBlogのレコメンドなどもやっていきたいです。
▼今後の取り組みについて、教えてください
ユニファイドコマースの取り組みを一層進めていきたいと考えています。カスタマイズしたレコメンドなど、リアル店舗でも使えるデジタルマーケティング施策は多々あるはずです。店舗スタッフのリテラシーを上げ、またプライバシーに意識しながら、みんなが理解し、納得して使えるソリューションを、ECと店舗、両方で作り上げていきたいです。
■「アイジェント・レコメンダー」とは
複数のレコメンデーション・アルゴリズムを搭載した、リアルタイムAI(人工知能)マーケティング・プラットフォームです。顧客企業は、利用場面に応じて最適な技術を容易に選択・導入することができ、ABテストによる効果検証も可能です。アルゴリズムは、シルバーエッグ社独自開発のAIをベースにしており、サイトのアクセスや購買状況、各ユーザーの動線を「リアルタイム」に把握・分析し、一人一人の嗜好に合ったおすすめの商品を、瞬時に表示することができます。
また、多機能な管理画面やレポーティングサービスにより費用対効果の検証を行い、売上増大に向けた対策などを、専任コンサルタントが継続的にサポートします。
(取材 / 編集:園田 真悟)