2000種類の在庫と豊富なコンテンツを活用し、エントリー層をワインファンに – 「エノテカ」


ワインの輸入販売大手「エノテカ」の公式通販「エノテカ・オンライン」では、複数のマーケティングチャネルやツールを効果的に利用し、ユーザーが誰でも自分なりにワインを選ぶことが楽めるよう顧客体験の向上に力を入れています。その一環としてレコメンド機能を見直し、AIによるより強力な商品提案を導入した結果、レコメンド経由売上は300%向上しました。

 

エノテカ・オンラインが推進するコンテンツメールとレコメンドを組み合わせたマーケティング手法や、AIが発見した思わぬ顧客行動について、ご担当者様にお話しを伺いました。

 

【INDEX】

レコメンド、接客、MA、オウンドメディア
エントリー層をワインファンに変える取り組み
シナリオメールとレコメンドを組み合わせたマーケティング
AI導入で、より高単価の商品が売れるように!


レコメンド、接客、MA、オウンドメディア

 

▼エノテカ・オンラインの特長を教えてください。

エノテカは、1988年に設立したワイン専門店です。ECサイト「エノテカ・オンライン」は2000年から事業を開始し、現在はワインショップと並び、リテール事業として運営しています。

 

部門的には分かれていますが、ショップとECはそれぞれ独立した存在とは考えていません。むしろひとつのリテールとして融合して、ビジネスに取り組んできました。エノテカをより便利に快適にご利用いただくため、リアルとデジタル双方のサービスを一体的に提供できるよう努めています。

 

ECには、ショップでは実現できない顧客体験があります。たとえば、ショップでは物理的制約で商品点数は限られますが、オンラインでは2000種類以上の商品をラインナップ。また、ワインの知識や合うレシピなどをまとめた読み物コンテンツを豊富に掲載しています。このようなECならではのサービスと、ショップでしかできない手に取ってワインを選ぶ体験の両方を、お客様に楽しんでもらえるようにしています。

 

▼顧客満足度を上げるため、どのようなマーケティングツールを利用されていますか?

ワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現するため、メールコミュニケーションやサイト内体験の向上で複数のツールを併用しています。MAを使ったメールマガジンは、お客様の立場や購入したものに応じて、数十のシナリオメールを用意しており、きめ細やかなニーズに応じた情報配信が可能になっています。また、サイトにはAI搭載レコメンドエンジンと接客ツールを導入し、お客様の行動に応じてポップアップメッセージを配信したり、パーソナライズされた商品提案をしたりしています。

 

お客様に楽しんでもらえるサービスであるために、コンテンツマーケティングには力を入れています。これは単にECサイトのバリューアップではなく、ショップへの送客効果も狙った施策です。前述の豊富なコンテンツを購入したタイミングで届けるといったような、コンテンツとツールを組み合わせたような取り組みも行っています。

 

 

エントリー層をワインファンに変える取り組み

▼エノテカ・オンラインは、特集記事、スタッフレビュー、読み物記事「おどるわいん」と、多様なコンテンツが揃っています。どのような効果を狙っているのでしょうか?

ショップでは、店員と会話してワインの知識を深めていく楽しみがありますが、ECでそれはできません。そのためにも、エノテカ・オンラインではお客様の情報収集を支援するため、様々なコンテンツを用意し、ワインの世界の広がりを感じてもらうことが重要だと考えています。

 

季節や食などのトレンドに合わせた特集コンテンツ、スタッフが自身の言葉でワインを紹介するスタッフレビュー、ワインにまつわる様々な情報をまとめた読み物記事など、多種多様なコンテンツでお客様のワインライフがより豊かになるようなお手伝いができるよう努めています。

 

サイトではこのほかにも、自分がショップやオンラインで購入したワインの傾向がわかるパーソナルレポート機能や、ワインの感想を残せるワインノート機能などを備えた「マイワイン」機能を提供し、自分だけのワインを見つけてもらえるようになっています。

 

▲エノテカ・オンライン トップページ

 

シナリオメールとレコメンドを組み合わせたマーケティング

▼アイジェント・レコメンダー導入によるレコメンド機能の強化も、ワイン選び支援の一環でしょうか?

もともとの話を言えば、コロナ禍によるECブームが終息し、それまでのような成長が難しくなってきた中、既存のレコメンドエンジンを見直して売上への貢献ができるものにしようとしたのが導入検討のきっかけでした。

 

ECだけでなくショップの購買データも連携してレコメンドができるアイジェント・レコメンダーの機能は、リテールを横断した顧客満足度向上取り組みにも合致しており、導入判断にあたってはプラスになったと思います。ワインを購入される際、自分の好みがわからない、選びにくいという方も多くいらっしゃいます。当社で扱うワインは2000種類以上と多く、その種類も多岐にわたる中、レコメンドを通してお客様の好みに合った最適なワイン選びのサポートができればと思いました。

更に言えば、アイジェント・レコメンダーの導入で商品レコメンドだけでなく、読み物や特集記事 などのコンテンツレコメンドも実現できるようになりました。また、レコガゾウを使ったメールレコメンド機能もあります。これらの機能の活用でサイト内の回遊性を上げ、顧客の関心に沿ったワイン情報の深掘りに貢献できていると考えています。

 

▼レコメンドエンジンの使い方で工夫されているところはありますか?

レコメンドエンジンと、MAを使ったシナリオ型メールと組み合わせた、カテゴリー特化型のレコメンドメールの配信が挙げられます。たとえば、ワインのセット購入者には、セット商品を提案するシナリオメールを送っていますが、その中に掲載するレコメンドも、当然セット商品中心のレコメンドでなければなりません。

 

このような特化型レコメンドを簡単に出せるようにするために、アイジェント・レコメンダーに読み込ませるカテゴリーマスターデータの作り方を工夫しています。色や産地、ワインのタイプといった商品情報だけでなく、セット販売やセール、特集記事コンテンツに関係するカテゴリーなど、当社のサイトコンテンツに即したカテゴリーを作って、適切なユーザーに適切な商品だけをレコメンドできるようにしました。

 

いままでのレコメンドエンジンでは、こういったカテゴリーごとのレコメンドを行おうとすると、一つひとつロジックを作ってMAツールと連携させる作業が発生して、非常に手間がかかりました。アイジェント・レコメンダーでは、カテゴリーマスターさえ作っておけば、必要に応じてカテゴリーごとのレコメンド表示を簡単に投入できます。また、効果が出なかった場合も、別のロジックへ簡単に切り替えられるのは便利だと感じています。

 

 

AI導入で、より高単価の商品が売れるように!

▼レコメンドエンジンを切り替えて、どのような効果が見られたでしょうか?

アイジェント・レコメンダー導入後のレコメンド経由のコンバージョン数および売上高と、導入前の別ツールからの同数値を、期間を同じにして比較してみました。結果として、コンバージョン数が約270%、レコメンド経由での売上が約300%向上しているという成果が得られました。

 

重要なのは、コンバージョン数の伸び以上に、売上高が伸びているという点です。これは、1回あたりのコンバージョンで、より高価格の商品がレコメンド経由で売れているということを示しています。これまでのレコメンドエンジンでは、色や価格といった条件でフィルタリングをかけていました。商品が多岐にわたるため、閲覧や購買した商品により類似した商品が出るほうがお客様にとってよいと思い、設定していたのです。

 

しかし、アイジェント・レコメンダーではAIが純粋に顧客の閲覧・購買傾向から最適なニーズを予測すると伺い、フィルタリングを行わずに商品提案をしました。その結果、レコメンド経由の客単価がこれまでより上がったのは驚きでした。AIで価格やカテゴリーを問わずお客様に合った商品が提案され、結果として意図的なフィルタリングをするより、客単価があがったのです。良い意味で私たちの仮説が崩されました。

 

▼驚きの顧客行動ですね。今後のエノテカ・オンラインで、レコメンドをどのように活用されていきますか?

現在レコメンドを導入していないページも含めて、より幅広いページにレコメンドを採用し、お客様のワイン選びのサポートをしていきたいと考えています。また、レコメンドロジックのABテストも行い、より最適化することにも着手したいです。

 

こういった細かなチューニングを施したレコメンド表示が簡単にできるのは、アイジェント・レコメンダーの利点だと思っています。今後もレコメンド含めた様々なコンテンツや仕組みを通じて、お客様自らがワインを探すだけでなく、新しいワインとの出会いを創出できるようなサイト作りをしていきたいと考えています。

 

(編集:園田真悟)

 

 



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