CRM/MA上でより高精度なパーソナライゼーションを実現するには?
オンラインのビジネスにおいて、顧客が求めている情報をOne to Oneで提供するパーソナライゼーション機能は、いまや欠くことのできない要素です。
シルバーエッグ・テクノロジーでは、サイトやメールがパーソナライズできているか、またそのパーソナライゼーションの質によっても売上が大きく違うことを、数々の事例でご紹介しています。パーソナライゼーションを制するサイトこそ顧客体験(CX)に優れたサイトと言っても過言ではありません。
今回は、高度なレコメンドと、マーケティングを支える重要な管理ツールであるCRMやMAを連携することで実現できる顧客体験の向上について解説します。
高度なレコメンドとCRM/MAを連携してパーソナライゼーション強化
【INDEX】
CRM/MAで利用できるパーソナライゼーション機能の種類と性能
・シナリオ
・コンテンツ
MA/CRMとレコメンドサービスの連携
・高精度なパーソナライゼーションのためのチェックポイント
・「アイジェント・レコメンダー」によるパーソナライゼーション
・「レコガゾウ」によるMA/CRM連携
まとめ
CRM/MAで利用できるパーソナライゼーション機能の種類と性能
CRMやMAの中には、標準的にパーソナライゼーション機能を搭載しているものが多くあります。しかし、一言で「パーソナライゼーション」と言っても、その適応範囲、機能や性能は一様ではありません。大まかに分ければ、MAやCRMでパーソナライズできる範囲は、「シナリオ」と「コンテンツ」の2つに分けられます。
シナリオ
MA/CRMの中には、蓄積したユーザーや顧客の行動情報をもとに、それに合わせてシナリオをパーソナライズできることを強みとしているものも多くあります。
MAであれば、サイトの閲覧状況、広告のクリック、ランディングページのフォーム入力、非アクティブ期間といったユーザーの行動をトリガーとして、育成や分析に利用することができます。
CRMであれば、サイトの閲覧状況、購入、カゴ落ちといた顧客行動をもとに、分析はもちろんメールを送ったりといった顧客コミュニケーションに活用します。
こうしたツールでは、一人ひとりの行動に合わせてOne to Oneの施策を行ったりコミュニケーションを取ることができます。
コンテンツ
シナリオのパーソナライズに加えて、コンテンツをパーソナライズすることでさらに施策の効果を発揮することができます。
メールの宛名にトークンを使用したり、ユーザー/顧客の属性や行動、嗜好ごとに表示するコンテンツを出し分けるといった機能はコンテンツのパーソナライゼーションと言えます。
また、業種や年齢、性別、役職などに基づくセグメンテーションによってシナリオやコンテンツを出し分けることができるものもあります。
もっとも、セグメンテーションによる出し分けは、1対1の施策ではないので、本当の意味でのパーソナライゼーションとは言えません。世に出回っているMA/CRMツールの中にはセグメンテーション機能のことをパーソナライゼーション機能として謳っているものも多くありますが、どの程度パーソナライズが実現できるのかは、注意しておくべきでしょう。
MA/CRMとレコメンドサービスの連携
MAやCRM、ECプラットフォームが提供しているパーソナライゼーション機能は、特にコンテンツ面では限定的なもの留まっています。しかし、高性能なレコメンドサービスをサイトに導入し、MAやCRMと連携させることができれば、シナリオとコンテンツの双方を完全にパーソナライズさせることができ、顧客体験をさらに上げることができます。
ここでは、MA/CRMと連携して効果を最大化することのできるレコメンドサービスの性能のチェックポイントと、シルバーエッグのレコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」の活用と、そのオプション機能「レコガゾウ」との連携についてご紹介します。
高精度なパーソナライゼーションのためのチェックポイント
どのような機能を備えたレコメンドサービスならば、MA/CRM上でより高度なパーソナライゼーションを実現できるのでしょうか。以下にポイントをまとめましたので、チェックしてみましょう。
✔ セグメント(特定のユーザー集団)でなく、個人単位でレコメンドの出し分けができる
✔ 事前バッチ処理ではなく、リアルタイムでレコメンドアイテムを決定できる
✔ ユーザーの利用シーンに応じてレコメンドのロジックをチューニングできる
✔ チャネルの特性に合わせてUIをカスタマイズできる
✔ コールドスタート問題への対応ができている(AI搭載レコメンドの場合)
✔ MA/CRMと連携し、複数のチャネル(Webサイト、App、eメールなど)とシナリオで、同じ品質のレコメンドを表示できるコールドスタートにも対応できている
いかがでしょうか?できるだけ多くのポイントを実現し、MAやCRMと連携させることでパーソナライゼーションの効果を最大化させましょう。
「アイジェント・レコメンダー」によるパーソナライゼーション
「アイジェント・レコメンダー」によるパーソナライゼーションは、他社の提供するレコメンドエンジンや、MA/CRMに標準搭載されているパーソナライゼーション機能とは何が違うのでしょうか。ポイントをまとめてみました。
完全なパーソナライゼーション
従来型のレコメンドエンジンには、「コンテンツベースド・レコメンド」という手法を取っているものがまだ多くあります。
・ 商品Aを見た人には、同時に買われることの多いB・Cという商品を表示する
・ 特定の年齢・性別人には、その人をターゲットに開発された商品D・Fを表示する
このような手法は理解がしやすく、一見効果的ですが、あくまでコンテンツ(商品)の特性からユーザーを分類しているに過ぎません。
たとえば、「20代女性」が、「40代男性がターゲットの商品」を求める状況は多々あるだろうということは、容易に想像できます。このような状況でも柔軟に、一人ひとりのニーズに寄り添ったアイテムをレコメンドするため、「アイジェント・レコメンダー」は協調フィルタリング技術を基に複数の機械学習技術を組み合わせた独自のエンジンを搭載し、完全なパーソナライゼーションを実現しています。
・レコメンドエンジンの仕組みの説明はこちら (レコメンドエンジンの性能の違い: 進化の歴史で振り返る)
リアルタイムレコメンド
しかし、人間の消費行動を考えれば、たとえ数時間のタイムラグであっても、機会損失には大きな影響を及ぼします。たとえば、ユーザーが昼に探していた商品と、夜に購入を検討している商品が異なることは、日常茶飯事です。たまたま見たテレビ番組によって、その前後のユーザーの行動が大きく変わるといったケースも考えられます。
「アイジェント・レコメンダー」はこうしたタイムラグが完全になく、1回1回のクリックや閲覧、購入の行動を、すぐに次の瞬間のレコメンドに反映することができるので、その効果は絶大です。
・リアルタイムレコメンドによる成功事例はこちら (Ropping)
ロジックのチューニング
ロジックをチューニングすることで、レコメンドに制限をかけたり、メールキャンペーンとの整合性を保つことができます。ユーザー一人ひとりの行動情報を元にした嗜好に加え、季節的要因やトレンドを掛け合わせることで効果をさらに上げることができます。たとえば同じテイストの洋服であっても、冬はニット、夏はシャツといった具合にカテゴリをフィルタリングすれば、顧客が欲しいものと売りたいものとのギャップのない効果的なレコメンドをすることができます。また、レコメンドのロジックについても、コンサルタントのサポートにより最適な相関を利用できるようチューニングすることができます。
・レコメンドのチューニングの成功事例はこちら(カクヤス)
カスタマイズとコンサルティング
UIをカスタマイズしてコンテンツの表示位置や数を調整させることができます。
たとえばトップページのファーストビューにレコメンドを表示させれば、ユーザーはそのサイトを訪問した瞬間から、自分好みの情報や商品を見つけられます。
また、オウンドメディアを活用して、商品購入の動機を高めたい場合には、記事の下に関連する商品を表示させると、顧客のファン化と同時に商品の魅力を相互に伝えることができます。
「アイジェント・レコメンダー」ではレコメンド表示のカスタマイズの自由度が高く、また専任のコンサルタントがそのサイトでもっとも効果の出るUIをご提案することもできます。
・トップページのレコメンド表示についての成功事例はこちら(MAMMUT)
・ オウンドメディアを活用した成功事例はこちら (BAYCREW’S)
コールドスタートの解決
アイジェント・レコメンダーは協調フィルタリングというアルゴリズムをベースにユーザーの行動情報に基づくレコメンドを提示していますが、それだけでは行動情報がまだ十分に蓄積されていないユーザーにレコメンドの効果を発揮させることができません。
これに対し、カテゴリ情報や画像認識・文章意味解析技術、リアルタイム購買ランキングを組み合わせることで、まだ「コールド」な状態のユーザーにも一定の効果を発揮できるようになっています。
・コールドスタートを解決する「アイジェント・レコメンダー」の技術について詳しくはこちら
上にあげたアイジェント・レコメンダーの特長と性能はMA/CRMの連携においても継承され、そのパーソナライゼーションの効果を発揮することができます。
「レコガゾウ」によるMA/CRM連携
「レコガゾウ」は「アイジェント・レコメンダー」のオプション機能です。アイジェント・レコメンダーによるサイト上の高度なレコメンドを、メールやLINEでも実現することができます。MA/CRMを経由したメール配信でも利用できるため、MAやCRM上で構築したシナリオメールにOne to Oneなレコメンド表示を有機的に掛け合わせることができます。
MA/CRMと連携させたレコガゾウの活用のポイントです。
MA/CRMの種類に関わらず連携可能
レコガゾウはHTMLに専用のimgタグを挿入するだけで、メールに表示する商品やコンテンツをパーソナライズできるため、基本的にはどのMA/CRMから配信するメール上でも利用できます。
メールを開いた瞬間にリアルタイムにコンテンツを生成
アイジェント・レコメンダーの性能を継承しているため、レコガゾウもリアルタイムにコンテンツを生成します。メールの場合、メールをクリックした瞬間に、それまでの行動情報を反映しレコメンドを表示することができます。メールであってもタイムラグが発生することはありません。
在庫切れや価格の変更がメールに表示されることはない
リアルタイムというレコガゾウの特長により、在庫切れ商品が表示されてしまったり、変更前の価格が表示されるといった心配はありません。
サイトとメールで統一されたパーソナライゼーションが可能
MA/CRMにレコメンドを連携させるもっとも重要なポイントは、メール上でも同質のパーソナライゼーションを提供できるという点にあります。
せっかくサイトで精度の高いレコメンド表示を行っていても、メール上ではMAが提供する画一的なレコメンドやタイムラグが発生していては、顧客がサイトを訪問する動機にはなりません。また、メールでおすすめされる内容とサイトでおすすめされる内容が違うと、まるで店舗で接客する店員によって言っていることが異なっているかのような違和感をもつという顧客も少なくありません。
些細なことに思われるかもしれませんが、上質な顧客体験やパーソナライゼーションにこだわるならば、そこまで配慮することは重要です。実際シルバーエッグの顧客に、そのようなこだわりから敢えてMAのパーソナライゼーション機能ではなく「レコガゾウ」を利用したいという企業が多く存在します。
会員IDとMA/CRM上のユニークIDとの統合
MAやCRMとレコガゾウを連携させる前提として、ECプラットフォームの会員IDとMA/CRM上のユーザーのユニークIDが一意に紐づいていなければ「レコガゾウ」は利用できません。会員IDとMA/CRM上のユニークIDが紐づいてさえいれば、あとはHTMLにレコガゾウのimgタグを挿入するだけで、メールの受信者一人ひとりに異なるOne to Oneなメールが配信されます。面倒な処理はいっさいありません。
まとめ
CRM/MAの中にはパーソナライゼーション機能が標準搭載されているものが少なくありません。しかし、「パーソナライゼーション」を謳っていても、本当の意味でOne to Oneな価値を提供できるものはきわめて少ないです。
サイトに導入するレコメンドツールとCRM/MAを連携することができれば、CRM/MAで設計したシナリオ上で、コンテンツをOne to Oneにレコメンドしパーソナライゼーションを加速することができます。
自社サイト上で高度なパーソナライゼーションができているか、ぜひチェックポイントを参照し、アイジェント・レコメンダーの導入を検討してみてください。アイジェント・レコメンダーであれば、サイトで実現したパーソナライゼーションを、メール上でも簡単に実現できます。レコガゾウのMA/CRMとの連携には、大きなハードルは一切ありません。
SNSや広告も重要ですが、メールは依然として優良なユーザーのファン化や顧客のサイト誘導に効果的なチャネルです。リアルタイムなコンテンツのレコメンドをMAやCRMのシナリオと掛け合わせ、顧客が体験するパーソナライゼーションをもっと豊かなものにしていきましょう。