検索エンジンとレコメンドエンジンを組み合わせれば、利便性はここまで上がる!


情報過多時代における、「検索」の重要度と限界

インターネットにおいては「検索」こそすべての体験の出発点であるということに異論を挟む人はいないでしょう。インターネットがなぜ「インタラクティブ」なメディアであるかと言えば、ユーザーが自分で何を求めるのか意思を示し、その結果を得ることができるからにほかなりません。そのインタラクティビティをシステムとして可能な限りシンプルなUIで実装したのが、Googleのようなフリーワード検索エンジンです。

 

一方で、「検索」はユーザーにとって多くの苦難の出発点でもあります。フリーワード検索で「自分の思い通りの情報が得られなかった」という不満を抱かなかった人はいないでしょう。さまざまな機械学習アルゴリズムを駆使してサービスをアップデートしているGoogleでさえ、絶えずこの批判に晒されています。

 

他のサービスではどうでしょうか? たとえば、いまや広く普及したビジネスチャットツールで、重要な添付ファイルが含まれる会話ログが見つからずイライラしたことはありませんか? ブログのプラットフォームや、商業サイトのサイト内検索はどうでしょうか?

 

なぜフリーワード検索で欲しいものが見つからないのか? 主な問題点は以下です。

 

1. ユーザーが入力した検索キーワードが、ユーザーが求めるコンテンツに含まれていない

2. ユーザーの入力した検索キーワードに表記の揺れがあり、検索エンジン側が正しく認識できない

3. 検索システムが、キーワード以外の要因で検索結果をチューニングした結果、ユーザーが求めるコンテンツが恣意的に除外されたり、表示位置が下げられたりしている

4. そもそもキーワードに一致するコンテンツが多すぎて、大量の検索結果の中からユーザーが探しきれない

 

上記のような問題が幾重にも組み合わさり、ユーザーは検索結果に失望するのです。

 

だからといって、インターネットを21世紀以前の、ディレクトリー型検索だけの世界に戻すことはできません。今やフリーワード検索は、ネット上で「探すこと」の起点として、ほとんどのユーザーの行動に刷り込まれてしまっているのです。

 

検索品質向上への挑戦

多くのECサイトやコンテンツ配信サイトでは、自社サイト内に専門業者の提供するカスタマイズされた検索エンジンを導入しています。それによりサイト内で検索されたキーワードをコンテンツと正しく関連付けたり、表記揺れに対して正しい言葉をサジェスト表示したりして、問題を解決しようとしています。

 

また、ECサイトには商品のライフサイクルがありますから、新着製品を上位に出したり、品切れとなった商品がいつまでも検索結果に出てこないようにしたりする対応も必要です。専門業者は、ECサイトのプラットフォームと連携し、消費者が欲しい商品を正しく見つけ出せる技術の提供を進めています。

 

しかし、それでも限界はあります。商品点数や掲載コンテンツ数が豊富すぎて、ユーザー1人ひとりが求めていた商品ページにたどり着けないという問題は、容易に解決できるものではありません。ユーザーが入力するシンプルなキーワードだけでは、無数のアイテムの中から最適なものを選びきれないのです。

 

この解決へのアプローチのひとつに、サーチエンジンにレコメンドエンジンの機能を組み合わせ、検索結果をパーソナライズする方法があります。

 

 

レコメンドエンジンによる「検索キーワード」に対する商品の予測

シルバーエッグ・テクノロジーのレコメンドエンジン「アイジェント・レコメンダー」には、いくつかのオプション機能があります。そのうちのひとつである、「KB(Keyword-Browse)相関」機能は、その名の通りユーザーが検索エンジンに入力した「キーワード」と、過去に「閲覧」した情報を紐づけて、AIにユーザーのニーズを分析させる機能です。

 

この機能は、キーワードに基づいた検索表示や、画一的なサジェスト機能と異なり、1人ひとりにパーソナライズされた「関心度の高いアイテム」を表示します。いまユーザーが検索したキーワードと、過去に閲覧した情報、そして他の多くのユーザーの行動に関する統計的な情報をもとに、ユーザーの嗜好に合わせて異なるアイテムを提案できるのが特長です。

 

また、アイジェントのAIエンジンの特長であるリアルタイム分析機能も備えていますから、ストックのない商品を検索結果から除外したり、いまトレンドになっているコンテンツを優先的に出したりすることができます。

 

 

「KB相関」機能の活用法

この機能の使用方法のひとつとして、キーワード検索結果の表示エリアとは別に、「KB相関を利用した検索結果」をレコメンド表示するエリアを設ける、という方法があります。

 

検索エンジンが算出した通常の検索結果を表示しつつ、ユーザーが実際に探している可能性の高いアイテムを、いくつかピックアップして表示することで、より簡単に、最短のステップで該当のページに辿りつくことができるようになります。

 

この機能により「ユーザー目線で、探しているものをいち早く推測して表示する」ことができるため、推奨された情報が押し売り広告のような印象を与えることなく、ユーザーから見て信頼のおけるものになります。

 

KB相関機能は取り扱いアイテム数が多いサイトや、旅行業界、不動産業界のような複雑な検索行動が要求されるサイト、階層構造が深いサイトで、特に効果を発揮するでしょう。

 

 

まとめ

KB相関は、ユーザーの「検索行動」に着目したレコメンドであり、検索結果のキュレーションと同様の効果を得ることができる機能です。検索入力で示された「ユーザーの明示的なニーズ」と、レコメンドエンジンが取得した過去の閲覧アイテムに現れる「黙示的なニーズ」を組み合わせることで、ユーザーの真のニーズを推測することができます。

 

サイト内で連続した検索行動をとっている(=何かを探している)ユーザーは、購買意欲が高いと考えられます。彼らに対して最速かつ最適な接客を行い、購買に繋げていけるかどうかは、ECサイトとして勝ち残っていくための大事な差別化要素となるのではないでしょうか。

 


 

KB相関機能とは

・ユーザーが「どのように検索を行ったか」と、「何のアイテムを閲覧したか」という行動データの相関性を利用し、レコメンドを行います

・探しているページに最短ステップでたどり着くことができ、サイトのユーザビリティやロイヤリティの向上に寄与します

 

(文:古賀 吉国 / 編集:園田 真悟)



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