EC売上アップの分岐点はここに! ページ別レコメンド設定講座 – Part.1 サイトトップページ
ECサイトの成否を分ける機能のひとつはユーザーの行動フェーズに合わせて表示するコンテンツを最適化することにあります。とくにおすすめの商品や記事を表示するレコメンドの役割は重要です。
しかし、レコメンドはただ導入するだけでは、十分な成果は得られません。重要なのは、トップページ、カテゴリーページ、商品詳細ページなど、ユーザーの行動フェーズに応じて“最適な導線を設計すること”です。
レコメンドエンジンには、「ユーザーごとのおすすめ表示」だけでなく「商品/コンテンツランキング表示」や「購買/閲覧履歴表示」などの機能もあり、フル活用することで、ユーザーの購買意欲をスムーズに引き出すことができます。
本記事では、AI搭載レコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」でECサイトの売上UPを支援するシルバーエッグ・テクノロジーの専門家が、現場ノウハウをもとにトップページの具体的な施策とチューニングのコツを紹介していきます。
解説:シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 アカウントコンサルチーム マネージャー 明石 清胤
【INDEX】
・「トップページ=ランディングページ」ではない時代に
・「ここまでで見たもの」を起点に、新たな選択肢を見せる
・レコメンドエンジンが提供する「閲覧履歴」と「ランキング」機能
・「レコメンドの位置」で効果は大きく変わる
・まとめ:「再訪ユーザーの導線」としてのトップページ最適化
「トップページ=ランディングページ」ではない時代に
── 最近のECユーザーはサイトのトップページをどう使っているのでしょうか?
明石:以前のように、トップページから入ってくる人は確実に減っていますね。多くのユーザーがGoogle検索や商品広告から、いきなり商品ページやカテゴリーページにアクセスしています。
ただ、そのあとで「思った商品じゃなかった」「もう少し探してみたい」となったときに、トップページに戻ってくるケースが多いんです。
── トップページが“サイト内での回遊拠点”になっていると。
明石:そうです。だからこそ、ここでは再探索のための仕掛け、つまりレコメンドが非常に重要になります。
「ここまでで見たもの」を起点に、新たな選択肢を見せる
── 再探索を促すには、ユーザー行動情報を使った「閲覧相関型」のレコメンドが有効とのことですが、これはどんなユーザー心理に働きますか?
明石:商品詳細ページなどからサイトに入り、その後トップページにアクセスした新規ユーザーは、ここで改めてブランドを知り、自分の知らない商品を探そうと考えているのではないでしょうか。
そんなユーザーには、「行動が自分に近い人を参考に、新しい商品を発掘する」というレコメンドが有効です。これが、「閲覧相関型」のレコメンドです。ユーザーが直近にどんな商品を見てきたかをAIが参照し、他の似たユーザーが見ている商品の中から「特にニーズのマッチしそうな商品」を予測してレコメンドします。ユーザーにとって、商品探しの“次の一手”になります。
── トップページを“発見の場”に変えていけるというわけですね。
明石:はい、新たな商品を発見したいユーザーや、自分の好みの商品が見つからなかったユーザーへの再提案として機能します。もちろん、トップページに直接ランディングする新規ユーザーもいますから、そういったユーザーには同じ枠で行動情報が無いユーザー向けの別アルゴリズムに基づいた商品レコメンドを行います。
レコメンドエンジンが提供する「閲覧履歴」と「ランキング」機能
── 閲覧相関型のレコメンド以外には、どんなパターンがありますか?
明石: 意外と効果が高い手法として挙げたいのは、シンプルな「閲覧履歴表示」です。これも立派なレコメンド機能のひとつです。ユーザーがトップページに戻るたびに、以前に見た商品を思い出してもらい、検討を再開してもらう効果があります。
── 「これ前に見たやつだ」と気づくことで、次のアクションにつながるわけですね。
明石:はい。そしてもう一つは、レコメンドのデータ収集機能を応用した「人気ランキング」。今まさに売れている商品や、注目されているアイテムを出すことで、トレンドに乗った提案ができます。これはトップページにランディングする新規ユーザーにも有効です。
なお、レコメンドエンジンが提供するランキング機能は、各ベンダーの提供するエンジンによって「情報鮮度」に差が出ます。当社のアイジェント・レコメンダーの場合、リアルタイムでクリックや購入のデータを取得しているため、ランキングデータも「いま」の売れ筋に近いものが出せます。
「レコメンドの位置」で効果は大きく変わる
── レコメンド内容の調整だけでなく、表示位置の調整も大事と聞きます。
明石:非常に大事です。たとえば、「レコメンド」の棚を「新製品紹介」の棚の上に置くのか、下に置くのかなど、表示位置を入れ替えるだけで、顧客の受けるイメージや、商品探しの導線は大きく変わってきます。ちょっとした位置の変更で、クリック率が1〜2%変わることは多々あります。
── ABテストで位置ごとの成果を測る、という運用が求められるわけですね。
明石:はい。「ランキング」や「特集」と「レコメンド」の配置順を入れ替えて検証していくことで、ページ全体のクリック率上昇につながる、最適な見せ方が見つかります。
まとめ:「再訪ユーザーの導線」としてのトップページ最適化
── 最後に、トップページのレコメンドを設計する上で心がけるべきポイントを教えてください。
明石:トップページを「初回アクセスの入り口」としてだけ考えるのではなく、「サイト内回遊の中継地点」と捉えることです。行動情報ベースのレコメンドだけでなく、閲覧履歴やランキング表示機能を使って、ユーザーの行動に寄り添った提案を出す。これだけでユーザーの購入率は大きく変わります。
最新のレコメンドエンジンは、ここで紹介した機能以外にも、商品情報やコンテキスト情報(気象条件や地域特性など)を取り込み、より精度を上げたレコメンドができるようになっています。固定観念にとらわれず、多様な機能をフル活用したレコメンド設計が、トップページに新しい価値を与えると思います。
次回は、トップページから多くのユーザーが流入する「商品カテゴリーページ」のレコメンドについて解説します。
(取材・編集: 園田 真悟)
参考記事
効果のでるトップページのパーソナライズとは
https://www.silveregg.co.jp/archives/blog/551
ECサイトの売上改善に結び付く、レコメンドエンジンの事例を紹介中!