いま求められる「顧客エンゲージメント」とは?基本とサイトで重要なポイント


【この記事でわかること】

顧客エンゲージメントとは
顧客エンゲージメントが重要な理由
サイトでできる顧客エンゲージメントの向上
AIパーソナライゼーションでできる顧客エンゲージメント改善
成功しているサイトの施策事例
まとめ

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 顧客エンゲージメントとは

顧客エンゲージメント(カスタマーエンゲージメント)とは、オンライン/オフラインのチャネルを通じた企業と顧客のやり取りの中で生じる信頼関係を表す概念です。

「エンゲージメント」はもともと誓約や婚約を意味しますが、それが成立するには長期的な信頼関係が必要です。

ビジネスにおいても同様です。ビジネスの場合、顧客との長期的な信頼関係は定期的な購入や訪問、サブスクリプション、登録といった形で現れます。こうした関係は、企業やブランドに対する良いイメージや期待、信用がなければ続きません。

 

何が違う?顧客ロイヤリティと顧客エンゲージメント

顧客エンゲージメントによく似た言葉として、「顧客ロイヤリティ」があります。

顧客ロイヤリティは一般に、サービスやブランドに対して顧客が抱く「愛着」として説明され、たしかに顧客エンゲージメントと重なる部分も多くあります。

あえて違いを整理するならば、顧客ロイヤリティは顧客の感情的な機微を重視するのに対し、顧客エンゲージメントは顧客の行動をより重視したものであると言えます。

顧客ロイヤリティは、たとえば顧客満足度やNPS(ネットプロモータースコア)のように定性的な顧客の意志や感じ方を数値化した指標が用いられます。

これに対して顧客エンゲージメントは、一定期間の来店回数やコンバージョン数、F2転換率といった、顧客の行動の頻度や価値を数値化した指標が用いられます。

もちろん両者は相互に重なり合う部分を多く含んでいるため、完全に分けて考えることはできません。

 

顧客エンゲージメントが重要な理由

 

顧客エンゲージメントがCXやロイヤリティと並んで注目されるようになった理由はおもに3つあります。

1. EC市場の成熟と商品・サービスのコモディティ化

EC市場が成熟し、商品やサービスそのものだけでは他との区別化が難しくなりました。
サイトの利便性やカスタマーサービスの充実、コンテンツとして楽しめるといった顧客体験を向上することで、顧客との長期的な関係を築くことが重要になりました。

2. リピーター戦略・F2転換戦略

コロナ禍によるEC景気が終息や個人情報保護法の強化により、新規顧客の獲得はこれまでにも増して難しくなっています。サイトの初回訪問ユーザーのエンゲージメント率を高め、その後も継続的にリピート購入してもらえるようにするためには、顧客エンゲージメント戦略が重要です。2回目の購入率を表す指標であるF2転換率も、顧客エンゲージメントを測る指標として注目されています。

3. クロスセル/アップセル戦略

運送コストが上昇する中、一度の購入点数や購入金額の増加が売上向上にとって重要です。よく知らないブランドや初めて購入するサイトで高額商品を購入することに抵抗を感じる顧客も少なくありません。ここでも以前も利用したことがあるとか、信用のあるブランドであるといった、顧客エンゲージメントの観点が欠かせません。

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 サイトでできる顧客エンゲージメントの向上

顧客エンゲージメントはオンライン/オフラインどちらでも重要ですが、とくに顧客の行動情報が数値として蓄積されるオンラインのサービスでは分析しやすいことがわかったと思います。そのため、ECサイトのようなオンラインのサービスでは、顧客エンゲージメントを向上させることが、売上やロイヤリティ向上のための近道といえます。

 

サイトで見るべき顧客エンゲージメントの指標

サイトで見るべき顧客エンゲージメントの指標には、次のようなものがあります。

・サイト(アプリ)内のユーザーのセッション当たりのPV数
・ページの読了率やスクロール率
・期間あたりのサイトアクセス回数
・SNSのフォロー
・LINEやメルマガの登録率

こうした指標は、ユーザーがコンバージョンに向けて“意味のある行動を取っているか”を測るものです。エンゲージメントを上げる工夫をすることで、コンバージョン率の向上、そしてリピート購入率の向上が期待できます。

サイトの顧客エンゲージメントを改善するステップ

重要なのはゴールを明確にすることと、改善のための分析をしボトルネックを見つけてPDCAを回していくことです。

顧客エンゲージメントのゴールを明確にする

漠然とPVやセッション数、コンバージョン数の増減を見ているだけでなく、自社のサイトで何が顧客エンゲージメントにつながるアクションなのかを見きわめ、ゴールを明確にしましょう。

リピーターを増やしたいならば1か月以内に再訪するユーザーの割合、一人当たりの購入点数を増やしたいならば一度のセッションでの回遊性(PV数)など、目標に合わせて逆算して設定していきます。

カスタマージャーニーや経路の分析

ゴールを設定すると思うように数字が伸びないかもしれません。

そうした場合には、カスタマージャーニーや経路の分析から、PDCAを回すと良いかもしれません。

たとえばメルマガやLINEに登録してもらいたいならば、実際に登録したユーザーがどのチャネルやページをよく見ていたかを分析し、ゴール手前のページに行くための導線の改善や離脱ポイントを一つ一つ潰していきます。

AIパーソナライゼーションでできる顧客エンゲージメント改善

商品を売るECサイトはカスタマージャーニーが複雑です。

ブランドを認知し、商品を比較、検討し、購入の判断をしたのち、実際に商品を体験・評価して再び同じサイトに戻ってくるという、複数のフェーズに分かれた構造になっているため、エンゲージメント施策もフェーズごとに最適化されなければなりません。それぞれのフェーズでのユーザーの関心事に対応した施策を行い、次のフェーズへの導線を強化していくことで、ECサイトのコンバージョン率は初めて上がっていきます。

例えば、ECサイトの中にライフスタイルブログや、店員による商品コーディネートの投稿写真などのオウンドメディアを設置するのは、商品の検討フェーズだけでなく、購入後の体験・評価のフェーズでも大きな意味を持ちます。これらのコンテンツは商品選びの参考となると同時に、関連する次の商品選びのヒントになるからです。

しかし、ECサイトの管理者やショップの店員が作り上げた大量のコンテンツも、ただサイト内に置いてあるだけでは効果を発揮しません。重要なのは、カスタマージャーニーのフェーズに応じて、レコメンドアルゴリズムを切り替え、顧客の導線を最適化することです。

商品検討のフェーズにあるユーザーに対して

いま見ている商品やコンテンツと一緒によく見られているコンテンツをレコメンドするアルゴリズムやチューニングが有効です。たとえば商品詳細ページや、ブログ、写真ページに、その商品やコンテンツと一緒によく閲覧されるコンテンツをレコメンドで設置します。こうしたコンテンツとの関連付けにより、顧客の関心を広げ、コンテンツ閲覧自体を楽しんでもらうことができます。またそれだけでなく、商品の利用イメージをしやすくし、購入を促す効果があります。

購入後の体験・評価フェーズにあるユーザーに対して

過去の購入品と相関の高いコンテンツや商品をレコメンドするアルゴリズムやチューニングが適しています。メールやLINE、アプリのマイページなどを介して、ユーザーが購入した商品と相性の良い商品やコンテンツに誘導することができ、サイトの再訪率を上げることが出来ます。また、自分が購入した商品の利用法やコーディネートを見ることで商品に一層愛着が沸き、ブランドのファン化が促進できます。

 

このように、多様なコンテンツと、それぞれのフェーズに適したレコメンドアルゴリズムを使い分けることが、エンゲージメント最大化の鍵となります。

 

カスタマージャーニーの各ステージで選択肢の多様性を担保

ECサイトでパーソナライズされたレコメンドを行ううえで最も重要なのは、常に複数の選択肢を提供することです。ショート動画サービスでは、動画は1本のストリームとして流れてきますが、ECサイトでは構造上、商品を一つひとつ紹介するやりかたは適しません。

顧客がいま見ている商品やコンテンツに対し、「こちらもいかがですか?」と常に3つ以上の選択肢を提供するべきです。バリエーション豊かな商品やコンテンツから、自分で何かを選び取る行為自体が、ユーザーにとってはポジティブな体験として記憶されます。また、複数の選択肢のなかには、ユーザー自身が想定もしていなかったコンテンツが含まれていることもあります。とはいえ、選択肢の中に含まれるわずかな意外性は、必ずしもネガティブなものではありません。意外な選択肢から、ユーザーは自分の新たな嗜好に気づき、その分野を開拓していくことに繋がります。

「この商品を見ている人は、このコンテンツを読むに違いない」という先入観に基づいて特定の情報を押し付けてはいけません。ユーザーの嗜好は千差万別で、時とともに変化します。常に選択権をユーザー側に残すこと、またその中に意外性の余地を残すことが、エンゲージメント向上につながります。このときAIはユーザーが選択肢の中から何を選び取ったかを学ぶことができ、その結果、より精度の高いレコメンドができるようになります。

成功しているサイトの施策事例

最後にいくつかAIパーソナライゼーションで成功した顧客エンゲージメント向上例をいくつかご紹介します。

エンゲージメント向上施策で大成功した動画サービス

2011年以降のYouTube

エンゲージメント向上施策の成功例と言えるのはYouTubeです。
YouTubeは2011年に入ってレコメンドエンジンをAIによる高精度のものに変えた結果、ユーザーが一つの動画を見たあとに次の関連動画を見る確率が目覚ましく向上しました。ユーザーが最後まで見たいと思える動画を次々とレコメンドすることで、ユーザーのエンゲージメント=連続視聴時間は上がり、結果的に広告収入の拡大を果たしたのです。

エンゲージメントモデルを極限までつきつめた TikTok

TikTokに代表されるショート動画サービスは、膨大な数の投稿動画と、AIレコメンドによる導線しかありません。ユーザーが動画を見るたびに、AIが次に見たくなるだろう動画を予測してリールに繋げることで、「気が付けば何十分も動画を見続けている」、というユーザー体験を創り出しています。

動画配信サイトにおける機械学習を活用した顧客エンゲージメント向上例

 

アパレルECサイトでの成功例

AIレコメンドによって顧客エンゲージメントを向上する取り組みは、特にユーザーの嗜好が現れるアパレル業界で早くから進められています。

大手アパレルECサイトの商品詳細ページを見ると、レコメンドの表示領域が、商品の紹介領域(画像、説明文、サイズ表記等)と同等か、それ以上の幅で置かれていることが多々あります。これは、ユーザーがいま見ている商品を気に入らなくても、サイトから離脱せずに他の商品やコンテンツを巡回できるようにするための施策です。

また、シルバーエッグ・テクノロジーが行ったレコメンドエンジンの効果に関する調査では、ショップ店員のコーディネートフォトのコンテンツに、他の店員のコーディネートや、関連する商品をレコメンド表示させることで、コーディネートコンテンツの回遊性(クリック数)を180%以上、コーディネートフォトからの商品購入額を190%以上向上させることに成功したという例も報告されています。最適な商品やコンテンツをレコメンドすることで、回遊性が上がれば、おのずと商品購入額も増えるという明確な事例と言えるでしょう。

アパレル/BtoB/食品 EC、人材サイト、デジタルコンテンツ配信での成功事例

シルバーエッグ・テクノロジーでは導入企業500社の実績があり、顧客エンゲージメントの成功事例も、アパレルや動画配信だけではなく、BtoB ECや食品系EC、人材サイト、電子書籍、オウンドメディアなど多数ございます。
ここではご紹介できなかった業種別のAIによる顧客エンゲージメントの向上の成功事例やインタビューを事例集としてまとめております。ぜひダウンロードいただき、お役立てください。

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まとめ

・顧客エンゲージメントは企業と顧客との間に築かれる長期的な信頼関係を表す概念

・市場が成熟しリピーター戦略・F2転換戦略・クロスセル/アップセル戦略の重要性が再認識される中、顧客エンゲージメントへの注目度が高まっている

・オンラインで測定できるセッション当たりのPV数、読了率、期間あたりのアクセス回数といったデータは、顧客エンゲージメントを向上するための指標として活用できる

・オンラインの顧客エンゲージメント向上のステップは、まずゴールを明確に設定し、次にユーザーの経路分析やカスタマージャーニーを分析し、ボトルネックを丁寧に改善していくことが近道

・動画配信やECサイトのようなカスタマージャーニーが複雑で多様なサイトに対応するには、AIパーソナライゼーションはが効果的である

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