検索+レコメンド。おなじみの技術を組み合わせて、一段上の顧客体験を
あなたの運営するECサイトは、ユーザーに必要な情報を届けることができていますか? 多数の商品を取りそろえ、コンテンツが複雑化しているECサイトでは、ユーザーをどうナビゲートして、「欲しい」「 知りたい」という欲求に応えるかが重要です。
「サイト内検索」や「レコメンド」の機能は、その一翼を担っていますが、あまりに当たり前の機能であるため、その利便性が顧みられていない、といった話をよく聞きます。今回は、ユーザーが情報を得るために取る基本的な行動を整理し、「検索」と「レコメンド」を組み合わせて顧客満足度を上げる方法を提案します。
【INDEX】
・情報を得るための4つの手段
・顧みられていない「検索」の問題
・「検索」+「レコメンド」で、更に顧客満足度を上げる
・これからの「マーケティング+AI」
情報を得るための4つの手段
ネット上で情報を得るための手段を整理すると、4つに分類することができます。
縦軸は、情報を得る手段が「能動的」か「受動的」か。横軸は、その手法が「アナログ」か「デジタル」か、です。左上から見ていきましょう。
セルフキュレーション:私たちが日常意識せずしていることです。自分が好きだ、欲しいと思う情報が掲載されているサイトやメルマガ、ニュースサイトなどを主体的に選んで定期的に閲覧し(ネットの外では、雑誌などを購読し)、そこから、欲しいものに出会います。ブランドサイトが発行するメルマガを購読することも、その一つと言えます。
ソーシャル:これはSNSやインフルエンサー、あるいはリアルの友人など、信頼できる相手から教えられた情報をもとに、商品と出会う受動的な手段です。セルフキュレーションと同じく、ECサイトの外で発生しがちですが、サイト内に掲載されたレビューや、著名な店員さんのblogコンテンツなども、こちらに当てはまります。
検索:Googleや、サイト内検索です。ユーザーが「これが欲しい、知りたい」という意図を明示的に入力し、目的のものを能動的に探し出します。間には検索エンジンのようなシステム(往々にしてAI)が介在し、適切な情報を提供します。
レコメンド:ユーザーが能動的に情報収集をしていなくても、AIが相手の必要そうな情報を考えて提供します。ECサイトのレコメンド機能は無論、TikTokのように、ユーザーが特に意識しなくても関心に沿ったコンテンツが流れ込んでくるシステムは、これにあたります。
顧みられていない「検索」の問題
Webで情報に辿り着くための手段は多々ありますが、本質的には上記の4つに集約されます。なかでも「ソーシャル」による情報提供は、SNSのトレンドが続いてきたことに加え、人間が見て分かりやすいため注目されがちです。しかし、「検索」や「レコメンド」は、それと同じぐらい重要な、多用される手段です。その存在があまりに当たり前すぎて、手を加えられていないサイトも多いのではないでしょうか?
こと検索について言えば、Webの横断的検索をつかさどるGoogleの機能は飛び抜けており、SEO対策はどの企業も継続的に力をいれています。しかし問題は、サイト内検索です。たとえば、Google検索から到達したページが、想像と少し違っていたときや、インフルエンサーの喋っていた商品を知りたくて、記憶している曖昧なキーワードを頼りにサイト内を探すときなど、ユーザーは必ず、サイト内検索に頼ります。その結果が的外れだと、ユーザーの満足度は大きく下がることになります。
無償の検索機能をメンテナンスせずに使っていたりすると、それが原因で、サイト内の回遊性を落とし、CVRを落としかねません。商品データの更新対応や、検索辞書による表記ゆれへの対応、絞り込み機能など、十分な機能が揃っていることは、顧客の商品との出会いを作り出すうえで必須と言えます。
「検索」+「レコメンド」で、更に顧客満足度を上げる
検索エンジンの重要な機能のひとつに「サジェスト検索」があります。これは、ユーザーが入力した曖昧なキーワードから、検索エンジン側が「もしかして……」と補正したキーワードや、関連するキーワードを表示する機能です。
特にECの場合、適切な商品カテゴリーを表示してあげたり、場合によってはそのキーワードに直結する商品をポップアップして見せたりすることで、検索のストレスを緩和し、商品詳細ページへの到達率を上げることが出来ます。
サジェスト機能は、一種の「レコメンド」ということができます。そこで、シルバーエッグ・テクノロジーは、自社のAIレコメンドエンジンを使ってこのサジェスト検索を更に高機能化する機能をリリースしています。
「サジェスト連携レコメンド」と呼ばれるこの機能は、ユーザーがサイト内検索で入力したキーワードと、過去に「閲覧」されたアイテム情報、そして他の多くのユーザーの行動統計をもとに、AIにユーザーが求めているものを予測させます。その結果は、画像付きでポップアップ表示されます。
ユーザーが検索ボタンをクリックし、商品リストから目的のものを探す前に、目当ての商品が見つかる可能性が高まることから、ユーザーの離脱率を大幅に下げ、商品購入を促すことができます。また、同じ検索ワードでも、ユーザーによって表示されるアイテムは異なっており、時期によっても商品が変化していくのも特長です。
たとば、アパレルサイトで「シャツ」と検索しても、季節が異なればユーザーが求めている商品も異なってきます。AIはこのトレンドの変化を統計的に分析し、その時点でユーザーが最も求めているだろう商品を、在庫商品の中から見つけ出すのです。
この機能は、シルバーエッグの通常のレコメンドエンジンと同じく、アルゴリズムをチューニングし、カスタマイズすることが可能です。単に買われやすいアイテムを出すだけでなく、検索結果の商品と一緒に見られている別カテゴリーの商品を見せて、顧客に想定外の商品の発見を促すことも可能です。
これからの「マーケティング+AI」
ソーシャルを使ったマーケティングブームがひと段落し、新奇性のある打ち手が少なくなっている今こそ、改めてECサイトの基本的な利便性を再チェックして、伸ばせるポイントを探していく良い機会です。長い間放置されていた商品検索やレコメンドという基礎機能の改善は、ツールや手法が確立している分、実施が容易で効果の出しやすいマーケティング施策と言えるでしょう。
特に検索の分野は、2022年末からのChat GPTやBing Chatといった大規模言語モデル(LLM)を用いた高精度のAIチャットボットが登場したことで、改めてその価値に注目が集まっています。既存のマーケティングツールをAIで強化し、ユーザー体験を向上していく手法は、即効性もあり、今後のトレンドとなるでしょう。
マーケティング分野のAI技術開発に、今後も注目です。
(文:園田 真悟)
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