F2転換率を上げるには? Part2: 初回訪問でまず顧客の心を掴む


 

前回の記事では、ECビジネスでF2転換率(購入頻度が2回となるユーザーの割合)の重要性が増している現状と、その背景にあるコロナ禍でのビジネス課題ついて紹介しました。

 

では、F2転換率を上げるために必要な取り組みとは何なのか? カスタマージャーニーの3つのフェーズのうち、第1のフェーズについて、AI搭載レコメンドエンジンの活用を軸に説明していきたいと思います。

 

F2転換率を伸ばし、多くの商品を購入してもらおう

 

【INDEX】
「2回目の購入」をさせるために絶対に必要なこととは?
映画と似てる? ECサイトの購入促進術
初回訪問フェーズでのバウンスレートと回遊率
レコメンドにAIが必要な理由
AIによる学習で、「2回目の購入」に繋がるデータを取っておく

 

【連載】F2転換率の向上を図るには?
Part1: なぜF2転換率は重要か
Part2: 初回訪問でまず顧客の心を掴む
Part3: 心動かされる提案が2回目の購入の決め手


「2回目の購入」をさせるために絶対に必要なこととは?

「2回目の購入」を行うユーザーが、100%行っている行動とはなんでしょうか? それは「1回目の購入」です。

 

出オチ感あふれる書き出しとなってしまいましたが、初回訪問でなるべく多くのユーザーを購入に至らせる、しっかりしたCX(顧客体験)施策ができていなければ、2回目の購入など夢のまた夢です。

 

また、昨今では世界的な個人情報規制の影響で、リターゲティング広告(商品を買わないで離脱したユーザーに、閲覧した商品を広告で繰り返し見せ、購入を促す施策)が使いづらくなっています。ユーザーがサイトを訪問してくれたら、そのセッション内でしっかりと買わせるテクニックが求められています。

 

2回目の購入=優良顧客化の土台となる、初回訪問時のCX向上のために、レコメンドを中心としたパーソナライズ接客をフル活用しましょう。また、ここで「どんなレコメンドを行うか」が、2回目の訪問時にも大きく響いてきます。

 

 

映画と似てる? ECサイトの購入促進術

ECサイトは、総合芸術である映画と似た面があります。キャスト(商品)、脚本(ユーザー導線)、演出(UXデザイン)、美術(グラフィックデザイン)、どれもが揃っていなければなりませんし、それぞれのクオリティを1歩ずつ上げていくことで、全体評価(=コンバージョン率)も着実に上がります。

 

今回特に注目したいのが、脚本にあたるユーザー導線……ユーザーにサイト内で商品をどのように伝え、購買に至らせるのかの設計です。ユーザーは、このサイト内体験が「つまらない」と感じると、映画を観るのを止めるように、サイトから離脱してしまいます。

 

一方で、1本道のシナリオとなる映画とは違い、ECサイトではユーザーがどのページを読み、次にどのページに遷移するのかは千差万別です。映画のように、シーンごとにユーザーの視線や感情を完全にコントロールして、クライマックス(=購買)に導くことはできません。

 

しかし、映画脚本の制作テクニックには、ヒントもあります。それは、見ているシーンごとに、次につながる“ヒキ”とか“フック”と呼ばれるものを設定する手法です。

 

映画の構成には濃淡があり、常に面白くエキサイティングシーンばかりで成り立っているわけではありません。しかし、たとえ盛り下がるシーンでも、「次にどんな展開が?」と感じさせるカットがあれば、観客のテンションは持続します。

 

ECサイトでも同様に、ユーザーが「めんどくさい」と思いがちな商品一覧ページや決済ページ、「思っていた商品と違う」と感じる商品詳細ページなどで、「フック」となる情報を設けることで、ユーザーの離脱を防ぐことができます。

 

フックづくりに使えるツールの代表例が、レコメンドエンジンです。

 

 

初回訪問フェーズでの離脱を最小化していく

レコメンドエンジンの導入目的は、CVRの向上やセット率(同時購買率)の向上にありますが、重要な機能として、「ユーザー導線の創出」があります。

 

たとえば、ユーザーがサイト内で見たい商品を検索し、商品詳細ページで閲覧した結果、それが、自分の好みでないと判断した状況を考えてみましょう。ここでユーザーが次に取る行動は、ブラウザのバックボタンやナビゲーションメニューをクリックして、また面倒な商品探しをやり直すか、買い物を止めてサイトから離脱するかの2択となります。

 

しかし、このページの中に、適切な商品のレコメンドを表示することで、ユーザーに「これがダメでも、次を見てみよう」というモチベーションを持たせ、ストレスなく閲覧を続けさせることができます。

 

ユーザーはページをクリックすればするほど、必然的に途中で離脱する可能性も上がります。なるべく、「商品を探しなおす」という手間のかかる行動をさせず、面白い商品だけを数珠繋ぎに見せることが、最初の購買を促す確率を上げていきます。

 

 

レコメンドにAIが必要な理由

この用途でのレコメンドエンジン活用のポイントは、「何をおすすめされたいか」が1人ひとり違うということです。

 

単純な方式のレコメンドエンジンでは、顧客が見ているカテゴリー内の商品を売れ筋順に出すだけのものや、顧客の購買履歴をもとに、類似品を出すだけのものも少なくありません。

 

しかし、先に書いた通り、顧客が「なぜその商品ページを見るに至ったのか」は、千差万別です。例えばファッション雑貨のサイトで「ビーチサンダル」を見ているユーザーは、週末に行くビーチで使えるグッズを探しているのかもしれませんし、夏用の可愛いサンダルを探しているだけなのかもしれません。

 

このようなユーザーに、ただ「ビーチサンダルの売れ筋品」をレコメンドしても、有効なフックにはなりません。ユーザーによって、「サンダル以外のビーチ用品」や「ビーチサンダル以外の可愛いサンダル」を表示するべきです。

 

この判断を実現するのが、レコメンドのパーソナライゼーションを実現するAIです。事前に「どんな客には何をレコメンドするか」という入念な設計をしなくても、AIが自然にユーザーの行動(閲覧・購買など)を学習し、多様なニーズに即したレコメンドを出すことができます。

 

シルバーエッグのレコメンドエンジンを例にとると、適切なチューニングを施すことで、ユーザーが3種類程度の商品を閲覧すると、その履歴から何を求めているのかを大まかに予測し、適切な商品をレコメンドすることが可能になってきます*。

 

初回訪問のユーザーも、サイトにある商品をいくつか眺めているうちに、潜在的に自分が欲しかった商品がレコメンドされるようになります。これにより、初回の購買確率はより上がっていくことでしょう。

 

*サイトの構造や業種・業態によって異なります

 

 

AIによる学習で、「2回目の購入」に繋がるデータを取っておく

もちろん、AIによるパーソナライゼーションには、弱点もあります。そもそも商品のバラエティが少ないECサイトでは、商品選択の多様性も少なく、AIを入れる意味が無いという場合もあります。

 

また、ユーザーがまったく商品を閲覧していない状態では、ニーズの予測のしようがありません。とくに初回ユーザーのアクセス先がサイトのTopページだったりすると、そこに出すレコメンドに窮するという場合があります。こういった状況では、代替として売り上げランキング表示を掲載したり、Blogやスナップフォトなどの情緒に訴えるページへの誘導をしたりして、顧客の購買意欲をワームアップするのがよいでしょう。

 

しかし、そのような弱点があってもなお、AI搭載のレコメンドエンジンの導入には大きなメリットがあります。それは、初回で学習したユーザーの行動が、2回目のアクセスと購入を促すために、大きな材料となるからです。

 

次回はいよいよ、F2転換率向上の核となる、2回目の訪問を促すためのレコメンドエンジン活用法についてご紹介します。

 

Part3 を読む

 

【連載】F2転換率の向上を図るには?
Part1: なぜF2転換率は重要か
Part2: 初回訪問でまず顧客の心を掴む
Part3: 心動かされる提案が2回目の購入の決め手

 

【関連ホワイトペーパー】
「F2転換率向上3つのステップ パーソナライズド・マーケティングで実現」

 


 

 

文責:園田 真悟(シルバーエッグ・テクノロジー株式会社)



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