ウェビナーレポート:「AWESOME STORE 堀口氏に聞く! “接客のDX”で作る、3倍売れるECサイト」
シルバーエッグ・テクノロジーは2022年6月8日(水)に、「STAFF START(スタッフスタート)」を提供する株式会社バニッシュ・スタンダードとともに、「AWESOME STORE 堀口氏に聞く! “接客のDX”で作る、3倍売れるECサイト」を開催しました。
本ウェビナーでは、オーサム株式会社 専務取締役 堀口 周作 氏をお招きし、ECサイトのリニューアルにより、一年で3倍のEC売上を達成したAWESOME STOREのEC戦略について、実体験をもとに語っていただくとともに、シルバーエッグ・テクノロジーが提供するAI搭載リアルタイム・レコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」と、バニッシュ・スタンダードが提供するスタッフDXアプリケーションサービス「STAFF START」を活用した、ECサイトの改善や組織運営で今すぐ使えるナレッジを紹介しました。
【INDEX】
・AWESOME STOREが一年で成し遂げたEC戦略
–商品企画から販売まで一貫して行う「SPAモデル」
–ブランドイメージを維持したECサイトの取り組み
–リニューアルから一年で成し遂げたEC成功の鍵:「知りたい」「知る」戦略
・実店舗を巻き込む:スタッフテックツールを使ったスタッフ戦略
–投稿を当たり前に。スタッフの巻き込み法
–投稿のハードルを下げ、多くのスタッフが投稿した結果、売上の1/3が「STAFF START」経由に
・量から質へ:コンテンツの質的向上と、レコメンドによるパーソナライズ戦略
–アイテムのファンを増やす、投稿の「量」から「質」の追求へ
–ユーザーを「沼」にはめる、メールでのレコメンド活用法
・まとめ:おいしいカレーにする!AWESOME STORE ECサイトの今後
AWESOME STOREが一年で成し遂げたEC戦略
AWESOME STOREは低価格で「遊び心」を提案するライフスタイル雑貨ショップとして、全国に65店舗を展開しています。さらに2018年からは、自社ECサイトを運営しています。AWESOME STOREの世界観やブランドビジョンをファンと共有するために役立っているのが、同社の採用する製販一体の「SPAモデル」です。
商品企画から販売まで一貫して行う「SPAモデル」
AWESOME STOREでは、アパレル業界で多く導入されているSPAモデルを採用しています。SPAモデルとは、企画・デザインから製造・物流・販売までを全て一貫して行う製造小売業モデルです。この方式により、市場のニーズに合わせた個性あふれる商品を迅速に取り揃えることを実現し、同時に強力なブランド力を手に入れることができました。
SPAモデルの活用により、AWESOME STOREは一号店の出店から10年経たずに65店舗を全国に展開し、急成長を遂げることができました。現在はこの間に培った店舗のテイストをそのままECに活かしたデジタル領域でのブランド力向上にも力を入れています。
ブランドイメージを維持したECサイトの取り組み
雑貨のような低価格商品は、大規模なモール型サイトへの出店・販売が比較的多いと言われています。しかし、AWESOME STOREはあえて自社ECサイトでの販売を選びました。リアル店舗ビジネスでSPAモデルを強みとしてきた同社は、デジタルの世界でも、ブランドイメージや独自の購買体験を維持できる自社サイトを選択したのです。
ECサイトを運用するうえでのポイントとして、堀口氏は「店舗で実際に商品に触れるのと同じような、鮮度の高い情報の提供にフォーカスしている」と語っています。同社では、良い商品の情報をいち早くオンライン上でもユーザーに届けられるように、サイト上に次のようなサービスを展開しています。
・AWESOME STYLING:「STAFF START」を活用したスタッフ発信コンテンツ
・AWESOME PHOTO:Instagramを活用したユーザーが作り上げるコンテンツ(UGC)
・RECOMMEND:「アイジェント・レコメンダー」を活用したレコメンドコンテンツ
図1:AWESOME STOREがオンラインで展開するサービス
このような仕組みを取り入れることで、顧客一人ひとりにパーソナライズされた(=好みに合う)商品やコンテンツを目立たせると同時に、商品を使ったスタイリングのような、店舗で得られるのと同様の密度の高い情報を提供しています。サイト内でもAWESOME STOREのブランドイメージをユーザーに浸透させることに成功しています。
リニューアルから一年で成し遂げたEC成功の鍵:「知りたい」「知る」戦略
AWESOME STOREが、会社の目標(KGI)である売上拡大を達成するために、ECサイトに課したKPIとはなんだったのでしょうか?堀口氏は、ブランド力を維持しつつ売上拡大に貢献するためのKPIとして情報配信の数を重視し、「知りたい」「知る」戦略というビジョンに基づく施策を進めたと語ります。
オンラインストアは、オフラインの店舗と違い、文字や画像、動画など多面的な情報収集がしやすいという性質があります。そこに着目し、同社のECサイトで「知りたい」情報を「知る」ことができる、そして「買いたい」というモチベーションを喚起する場としての役割を持たせることにしました。
ECサイト上のスタイリングやフォトなどのコンテンツの拡充を図り、顧客ロイヤリティや購買機会の向上を実現させることをECサイトのKPIとしたのです。
実店舗を巻き込む:スタッフテックツールを使ったスタッフ戦略
コロナ禍以前は、消費者に対して商品情報を伝えるのは店舗スタッフの役割でした。しかし、今やオンラインで買い物をするのも当たり前になり、「実店舗」「ECサイト」両方の環境で情報を円滑に提供し続けることが必要不可欠となっています。
AWESOME STOREでも、かつてはECへの理解が乏しい店舗スタッフが多かったようです。しかし、彼らの「ECアレルギー」を払拭できれば、会社全体として、店舗・ECサイトを問わない売上向上が実現できると、堀口氏は考えました。そこで、バニッシュ・スタンダードの「STAFF START」を採用しました。
「STAFF START」とは、 店舗スタッフをDX化させ、自社ECサイトでオンライン接客を可能にするスタッフテック(Staff Tech)サービスです。コーディネート投稿や動画、レビューなどのコンテンツを通じて店舗スタッフが顧客に接客を行い、その売上や貢献を可視化し、個人や所属する店舗の評価につなげることができます。
AWESOME STOREでは、この「STAFF START」を活用して実店舗のスタッフをEC運営にも巻き込む仕組みを立ち上げました。
投稿を当たり前に。スタッフの巻き込み法
スタッフを巻き込み、ECサイトにコンテンツを投稿してもらえるためにまず行ったのは、スタッフ全員にAWESOME STOREが好きであることを再認識させることでした。正社員とアルバイト全員に、ECサイトを「AWESOME STOREの好きなものを投稿できる場所」だと認識してもらい、店舗で商品をおすすめするように、「STAFF START」でブランドの良さや好きな商品を自由に投稿し、提案できるような仕組みを作りました。
図2:「STAFF START」を活用してスタッフが作り上げたECコンテンツ
コンテンツを投稿するスタッフのモチベーションを上げるために重要なのは、自身が勤務している「実店舗」と、「ECサイト」という2つの種類の店舗を兼任しているような感覚をスタッフに持ってもらうことだと堀口氏は語ります。
投稿のハードルを下げ、多くのスタッフが投稿した結果、売上の1/3が「STAFF START」経由に
「STAFF START」で効率良く情報を届けるには、一つのアイテムに対して多く投稿をするのではなく、より多くのアイテムを紹介する「カバー率」が指標とされています。カバー率を上げるには、できるだけ多くのスタッフに協力してもらうことが必要となります。
投稿にルールやクオリティによる制限をあえて設けず、「とりあえずまずは投稿してみよう」という形でスタッフに率先して参加してもらった結果、コンテンツの投稿数が一年で15,000件以上に達し、ECサイト全体売上の1/3が「STAFF START」経由となりました。
量から質へ:コンテンツの質的向上と、レコメンドによるパーソナライズ戦略
スタッフの投稿によって商品の認知や購入機会が広がったAWESOME STOREのECサイトですが、次のステップでは、商品やブランドのファンになってもらえるよう、一つひとつのコンテンツの質を向上させることにフォーカスしました。
アイテムのファンを増やす、投稿の「量」から「質」の追求へ
質の向上についても、堀口氏は特段コンテンツのマネジメントなどは行いませんでした。むしろ、堀口氏が着目したのは、投稿回数の多いスタッフは、クオリティも自動的に向上していくという、正の相関関係でした。
投稿回数を重ねるにつれて、スタッフ自らが内容の質を追求するようになり、おのずとコンテンツのクオリティが上がるようになりました。そこで、投稿を繰り返す習慣を身に着けることでAWESOME STOREの「好き」を「自分らしい見せ方」で発信する方法を覚えてもらい、スタッフ自らのカルチャーを、投稿を通して作り上げることに成功しました。
ユーザーを「沼」にはめる、メールでのレコメンド活用法
「STAFF START」の活用で、顧客に商品を知ってもらう、そしてファンになってもらうことに成功したAWESOME STOREでしたが、次のステップとして、「もっと知りたい」「もっと買ってみたい」という顧客のモチベーションを引き出す工夫を追求するようになります。
ECサイトに訪れるユーザーが「どんどん沼にはまるような感覚、サイトを“沼化”することにこだわるようになった」と堀口氏は語ります。
顧客が“沼にはまる”感覚を得られるサイトとは、どのようなものでしょうか?
鍵となるのは、「居心地の良さ」と「共感の得やすさ」です。堀口氏は、ユーザー一人ひとりのニーズや嗜好と合致した質の高い情報を提供することが重要だと考え、シルバーエッグ・テクノロジーの「アイジェント・レコメンダー」とそのオプションサービスである「レコガゾウ」を使った、メールでの顧客コミュニケーション施策を検討しました。
「アイジェント・レコメンダー」とは、顧客の行動をリアルタイムで反映しパーソナライズすることのできる高精度なAI搭載レコメンド・サービスです。
「レコガゾウ」とは、「アイジェント・レコメンダー」のレコメンドをメール上で実現するためのオプション・サービスです。HTMLメールに専用タグを入れるだけで、メール開封時点のユーザー一人ひとりの興味に即したおすすめアイテムをメール内に表示することのできるリアルタイム・レコメンドメールサービスです。
「レコガゾウ」の活用により、ユーザー一人ひとりが共感しやすいスタッフ投稿コンテンツやおすすめ商品を掲載したメルマガ配信が可能になりました。
たとえば、商品を購入した際に配信するフォローメールや、「お誕生日」などのお祝いメールに、ただクーポンを送るのではなく、顧客の嗜好に合いそうなおすすめ商品の紹介、あるいは過去にスタッフが投稿した興味を持ってもらえそうなコンテンツをメール内に含むようにしました。メールのデザインにこだわって、メールに少しでも興味をもってもらったときに、共感を得られるようなアイテムコンテンツを表示させて、きっかけを作るような仕組みを作り上げました。
図3:「アイジェント・レコメンダー」を活用したメルマガ配信
このようにして、既存コンテンツとレコメンドエンジンを活用し、サイト内だけでなくメールでのパーソナライズ戦略も強化しました。これにより顧客一人ひとりにとって「自分の好みに合うサイトである」という感覚を持ってもらい、サイトでの購買意欲の増進に成功しました。
まとめ:おいしいカレーにする!AWESOME STORE ECサイトの今後
店舗で培ったブランドイメージをECサイトでも維持しようという試みから出発したAWESOME STOREの戦略はいかがでしたでしょうか?
低価格商品を扱う自社ECの成功のポイントは、一つは実店舗スタッフをECサイトに巻き込んだコンテンツの投稿、そしてもう一つはユーザーの好みを反映しパーソナライズされたコンテンツや商品を見せることでした。このとき活用されたのが「STAFF START」と「アイジェント・レコメンダー」二つのサービスでした。
顧客の好奇心を引き出して“沼”にはめる方法論を語った堀口氏ですが、この戦略の実現でリニューアルから一年で3倍の売上を達成し、同社のECは「やっとスタート地点に立てた」と述べています。
堀口氏は、自社運用のECサイトを「カレー」にたとえて表現しています。ベースとなる「カレー」=ECサイトに、「STAFF START」や「アイジェント・レコメンダー」といった「スパイス」を調合することで、顧客に“おいしい”と感じてもらえるサービスの土台が実現しました。そこからさらに、新たなニーズに合うソリューションを追加で調合し、より深みのある「“おいしいカレー”を作っていきたい」と、堀口氏は締めくくりました。
ぜひ、スタッフテックツールとAI搭載レコメンドサービスを活用して、「おいしいカレー」となるようなECサイト改善を実現していきましょう。
オーサム株式会社とのインタビューをもとにした、さらに詳しい導入事例記事も掲載していますので、ぜひこちらもチェックしてみてください!
>>導入事例:「低価格雑貨のECは成功しない」という定説を打破し、業界のリーダーに! – AWESOME STORE
シルバーエッグ・テクノロジーは、今後もさまざまなパートナー企業の皆様、ユーザー企業様と共にセミナーを行っていきます。ぜひ今後ともご参加ください!
(文:矢野 アマンダ有梨)