課題と業界でわかる! レコメンド活用事例10選
インターネットを使っていて、「あなたへのおすすめ」を見ない日はありません。ECサイトでも、動画配信サイトでも、ニュースサイトでも、必ずレコメンド表示枠があり、何かをおすすめしてきます。
しかし、中にはレコメンドの仕組みや、プレゼンテーションの方法に問題があり、消費者から「欲しくないものを見せられている」と感じられるものも少なくありません。
真のレコメンデーションとは、顧客一人ひとりのニーズにマッチするものを予測し提案する、顧客本位のマーケティング手法です。予測の精度が高ければ――つまり「パーソナライズ」されていれば――おのずと顧客の好感度は上がり、購入の促進だけでない、様々なビジネス課題の解決が可能になります。
今回は、シルバーエッグが公開しているレコメンドエンジンの代表的な10件の事例を、「課題」と「業界」で分類して紹介します。消費者のニーズは多種多様です。この事例を参考に、レコメンドエンジンの最適な活用法を考え、消費者に寄り添ったECサイトの構築を進めていきましょう!
【INDEX】
CM集客効果の最大化 – 専門品通販「ダンボールワン」
商品認知の向上 – テレビ通販「ロッピング」
顧客の離脱防止 – インテリア販売「ノーチェ」
EC接客の改善 – アパレル販売「洋服の青山」
CVRの向上 – C2Cクラフトマーケット「minne」
CVRの向上 – 古物販売「まんだらけ」
併せ買いの促進 – アパレル販売「イトキン」
コンテンツマーケティング – アパレル販売「ベイクルーズ」
ARPPU(有料ユーザーの平均収益)を上げる – デジタルコンテンツ販売 NTTドコモ「d ブック」
人材マッチ率の改善 – 人材サービス「イーキャリア」
1. テレビCMの効果を最大化するための顧客体験改善
事例:株式会社ダンボールワン(専門品通販)
テレビCMで得られたECサイトへの集客効果に対し、期待した売上げが得られないと感じていたダンボールワンは、レコメンドエンジンでニーズが曖昧なお客様にバラエティ豊かな商品を見せたり、目的買いが多い小規模BtoC事業者のお客様に「もう1品」の商品を見せるたりすることで、再訪ユーザーの商品購入点数を130%増加させるなどの効果を得ることができました。
2. テレビでいま見た商品を、サイトでも自動レコメンド
事例:株式会社ロッピングライフ(テレビ通販)
テレビ通販と連動したECサイトでは、テレビ放送で紹介された商品をタイムリーに提示しなければ、販売機会を逃してしまいます。ロッピングライフは、AIベースのレコメンドエンジンを使い、放送システムとの特別な連携なしに、番組で紹介された商品をタイムラグなくサイト上でおすすめ表示する仕組みを実現しています。また、AIによる自動化と、シルバーエッグが標準で提供するコンサルサポートで、運用人員を最小で済ませています。
3. 検索で失望させない! “発見”を促す顧客ナビゲート
事例:株式会社シマダトレーディング “NOCE”(ノーチェ / インテリア通販)
家具のような耐久消費財販売では、店頭とECを併用して、じっくり商品選びをするユーザーが多くなります。NOCE(ノーチェ)では、サイト検索結果のページにもレコメンドを表示させるなどして、検索結果が「0件」でも顧客を失望させず、顧客がサイト内の商品やコンテンツを回遊できるような仕組みを構築しています。
4. コロナ禍でのECシフトを加速させるEC接客戦略
事例:青山商事株式会社「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」(アパレル)
EC接客の最大の問題は、店舗のように熟練のスタッフによる1to1コミュニケーションで、顧客のニーズを引き出せないことです。「洋服の青山」と「THE SUIT COMPANY」では、カテゴリーによるレコメンドではなく、ユーザーの過去の行動パターンに基づくダイナミックなレコメンド表示で、クリック率の低さを解消し、月平均注文件数の7~8%向上を実現しました。
5. “お気に入り”からニーズを探り、多様な商品を提案
事例:GMOペパボ株式会社 “minne byGMOペパボ”(ミンネ / C2C ハンドメイドマーケット)
C2Cマーケットプレースには、ユニークでカテゴライズしにくいアイテムが数多く出展されます。minne byGMOペパボでは、お気に入り登録を含めた多様な行動情報をAIに解析させ、「好みに合いそうなもの」をユーザー一人ひとりにリアルタイム表示するシステムで、CVRの176%向上を実現しています。
6. 膨大な在庫から“自分だけの逸品”を探し出す新型AI
事例:株式会社まんだらけ(古物販売)
多種多様なマニア向け中古グッズを1千万種以上在庫するまんだらけでは、これまで各店舗の“その道のプロ”である店員の手で、様々な顧客のニーズに対応していました。ECサイトの顧客体験向上を図るため、シルバーエッグの新型AIエンジン「Aigent X」を導入したところ、人間のスタッフも想定できなかった「顧客の求めている商品」が紹介できるようになり、月額2千万円以上の売上向上が実現しました。これは、EC販売の約5%を、AIの力で創出したことを意味します。
7. レコメンドのポップアップで“もう1品”の需要を喚起
事例:イトキン株式会社
自社の擁する20を超える多彩なブランド商品が購入可能なイトキンオンラインストアでは、ページごとの離脱率が高いことが課題でした。商品詳細ページから他の商品へのレコメンドを行い、効率的なユーザー導線を形成したほか、カートページでおすすめ品をポップアップさせることで顧客の認知を高め、サイト内回遊率の向上だけでなく、セット率の向上も実現しています。
8. コーディネートレコメンドで独自のカルチャーを配信
事例:株式会社ベイクルーズ “BAYCREW’S STORE”(アパレル)
ベイクルーズでは、店舗とECの垣根を超え、ユーザーにブランド価値をトータルで提供するOMO戦略を展開しています。その中核となるのは、店舗スタッフによるコーディネートのレコメンドです。商品の閲覧履歴から、顧客が今見ている商品のコーディネートだけでなく、「その人とマッチするコーディネート」の写真を提案。1セッション当たりのコーディネート閲覧数は20~50件にもぼります。
9. ARPPU(有料ユーザーの平均収益)を上げる
事例:NTTドコモ「d ブック」
「女性向け漫画」「男性向け漫画」といった属性ベースのコンテンツの分類から脱却。レコメンド経由で購入するユーザーのARPPU(有料ユーザー1人あたりの平均収益)が、導入前と比較して110%に増加
10. 自社開発か外注か? 最適なレコメンドエンジンを採用
事例:SBヒューマンキャピタル株式会社 “イーキャリア”
レコメンドエンジンは、ECだけでなく人材や不動産のマッチングでも使われています。イーキャリアでは、求職者とマッチする求人を紹介し、応募率を上げるため、費用対効果の高いAI搭載レコメンドエンジンを求めていました。自社開発の案件類似度ベースのAIエンジンと、行動ベースのアイジェント・レコメンダーを比較すると、特にメール経由での求人応募の発生率で圧倒的な差が出たと言います。
シルバーエッグのレコメンドエンジン導入事例は、このほかにもたくさんあります! ぜひ、自社の事業とぴったりな活用方法を探索してみてください。
(文:園田 真悟)